第21話 女神様と医者の観察力

 アイside

 ぐったりした様子でアイは家に無言で入った。


「やあやあ、お帰り」


 れんがアイが帰って来るのに気付き声を掛ける。


「……ただいま、蓮」


 力のない声で蓮に言う。


「霊歌ちゃんにやられてきたみたいだね」


 笑顔で蓮はアイの様子をうかがう。


「……うん」


 疲れた様子でアイは答える。


「霊歌ちゃんは人をもてあそぶのが大好きだからね」


 蓮は想像したのか笑い始める。


「蓮、笑いごとじゃないんだからね」


 アイは怒り初めて蓮を見る。


「それで、霊歌ちゃんにキスでもされたのかな?」


 蓮はアイの目を覗き込む。


「なんで知ってるのよ!?」


 アイは驚く表情を見せる。


「え?なんとなく当てずっぽうで答えたんだが」 


 蓮も驚いた表情を見せる。


「……」


 アイは無言になり霊歌のやりとりを思いだしてしまい、赤くなりしゃがみこんでいき縮こまる。


「おや?その様子だと他にも霊歌ちゃんに変な物渡されたり、何かふきこまれたかな?」


 蓮の言葉に反応して、頭から煙が上がるぐらいに赤くなりボフッと爆発して顔を隠しアイは悶え始める。


「……蓮、絶対に霊歌ちゃんから聞いたでしょ」


 顔を隠しながら蓮に話をする。


「え?当てずっぽうだよ」


 蓮はニヤニヤとし始める。


「絶対知っていたでしょ」


 悶えながら蓮を見る。


「ええ、知らないよ」


 蓮は無表情になり答える。


「じゃあ、何で当たっているのよ?」


 アイは蓮をにらむ。


「え?それは、霊歌ちゃんの性格を知ってるからだよ」


 どや顔で蓮は答える。


「いくら性格を知っていても、完璧に答えられないでしょ!!」


  アイはドン引きした。


「霊歌ちゃんと長く付き合えばわかるもんだよ」


 蓮は気にする様子もなく答える。


「家族の私でも霊歌ちゃんと一緒にいてもわからないわよ」


 アイは怒り口調で答える。


「観察力が足りないよ」


 蓮は笑顔でアイを見る。


「……」


 無言でイライラした表情になる。


「さてさて、話をするのも止めて寿司頼んだからアイちゃんも食べな」


 蓮は話を変える。


「うん、それじゃあ頂くかな」


 アイは疲れた表情で居室に入ろうとする。


「あれ、蓮、影森君、雪花ちゃんは先に食べたんだよね?」


 疑問に思いなんとなく蓮に聞く。


「……影森君はまだ食べてないよ」


 蓮は作り笑顔で答える。


「食べてないってどういうこと?」


 怒り口調になりアイは蓮を見る。


「……影森君にすすめても食べないんだ」


 蓮は疲れた様子になる。



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 どうも作者です。


 もし良かったら新作「感情を失った少年と女神。あなたの時間(人生)をいただきます」も連載していますのでよろしくお願いします。リンク↓です。

https://kakuyomu.jp/works/16817330667321843534


 


  

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