第10話 2人目の女神と医者

 蓮side

「おいおい、生きてるだろう何を言ってるんだ雪花ちゃん」


 良くわからない表情を蓮はする。


「……あれで生きてるわけないよ」


 冷たい静かな怒り口調で雪花は話をする。


「まあ、生ける屍だね」


 作り笑顔で蓮は答える。


「……影森君おかしいよ」


 複雑な表情で蓮に話をする。


「他におかしいことあるかな?」


 とぼけた笑顔で蓮は雪花を見る。


「とぼけないで欲しいかな。蓮」


冷たい笑みを浮かべ、蓮の目を見る。


「別にとぼけてはない」


蓮は雪花の目を合わせて答える。


「……影森君、わたくしに触れられて、さらに目を合わせても何も反応がないのは明らかにおかしいよ」


 雪花は複雑な表情になる。


「まあ、確かにそうだね」


 蓮は真剣な表情になる。


「わたくしに触れられたら寒気、悪寒、恐怖が無意識に出るはずなのに影森君は寒気と恐怖の症状すら全く出て来なかったな」


 雪花は触れた者の寒気、恐怖、悪寒を無意識に引き出してしまうという力を持っている。

 

「……そうだね」


 作り笑いを蓮はする。


「蓮、影森君は五感はちゃんとあるんだよな?」


 戸惑いながら雪花は蓮に聞く。


「……もしかしたらないかもね」


 蓮は特に驚いた様子もなく笑顔で答える。


「笑って答えるのは気味が悪いが知っていたのか?」


 雪花は蓮の目線に合わせる。


「……確証はなかったけどね」


 蓮は冷えた笑みを浮かべ答えを返す。


「蓮、影森君の目を覗き込んで見た時も凍結させる感情すら何も見付けられなかったな」


 雪花は他者の目をあわせることで相手の感情を凍結させてしまい一時的に相手が思った感情を出せなくなる。


「いやあ、雪花ちゃんに見つめられても影森君、何も変化がないからね」


 蓮は複雑な表情を見せる。


「アイちゃんから影森君の資料を見せて貰ったが、実際に会ってみたら、相当壊れているな」


 雪花も複雑な表情を見せる。


「ああ、そうだね」


 作り笑いを蓮はする。


「蓮、治療は出来ないのか?」


 真剣な目で雪花は蓮を見始める。


「無理だね」


 蓮は即答する。


「なんで無理なんだ?」


 雪花は蓮を睨みつける。


「精神の分野は専門外だからね」


 ため息をつきながら蓮は答える。


「それでも医者か?」


 雪花は静かな怒り口調で蓮の目線にあわせる。


「医者は万能ではないからね」


 やれやれとした表情を見せ、雪花の目を反らす。


「なら方法はないのか?」


 雪花は蓮を睨みつける。


「……自分から言えることは」


 蓮は真剣な表情で雪花の目を見る。


「なんだ?」


 雪花は蓮の目を見る。


「まず今の環境を変えないと始まらないからね」


 蓮は目を反らさず雪花の目を見て答える。


「……環境を変えるか」


 雪花は複雑な表情になる。


「環境に関してはゴールデンウィーク中にアイちゃんがするだろうからね」


 蓮は疲れた表情を浮かべる。


「……ね」


 雪花はため息をつく。


「何というか今後のこと考えたら、影森君の関わった人はある意味可哀想な気がするね」


 蓮は作り笑いを浮かべる。


「……因果応報だからしょうがないよ」


 冷たい口調に雪花はなる。


「因果応報でもね。生き地獄コース確定だからね」


「……蓮も情け深いこと言ってるけど、あなたもかなりえげつないことを裏で準備してるよね?」


 雪花は蓮の目をあわせる。


「え?何もしてないけどね」


 蓮はとぼけた笑顔を見せる。


「……霊歌ちゃん経由で聞いたけど、蓮、資産家、理事長、人脈を総動員して動かしているじゃない」


 雪花は蓮の目線を合わせて話をする。


「そりゃあね。自分も大人げないからね」


 とぼけた様子を見せず笑顔で答える。


「相変わらず子供には甘いわね」


 雪花は柔らかい笑みを見せる。


「……早く救えたら一番良かったけどね」


蓮は落ち込んだ様子を見せる。


「今から救って行けば良いよ」


 優しい笑みを浮かべ蓮の目を見る。


「そうだね。ただ」


 複雑な表情を浮かべる。


「何かあるの?」


 雪花は蓮の答えを待つ。


「正しいことなのかなって思ってね」


 蓮は真剣な表情を見せ答える。


「それはゴールデンウィーク中にわかることだよ」


 雪花は蓮の目をあわせて答えを返す。


「そうだね」


 蓮は納得した表情を見せる。


「さて影森君待たせてるから戻るよ」


「そうだね」


蓮、雪花は影森のいるリビングに戻った。





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