影法師(day31 遠くまで)

真っ白な世界だった。


燃え盛る炎の谷を越え凍てつく森を抜けた先、気付けば一面の白。


もう追いかける者もないはず。


「私がいる。貴方は私だもの」


ならいっそ死ぬまで道連れにと言えば笑う少女。


「その意気」


瞬きをすれば家の前。


遠くまで行ったはずなのに。


誰かの呼び声。


一歩を踏み出せば影が笑った。

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夏の140字小説(2023 文披31題) 雪菜冷 @setuna_rei

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