Day8 こもれび

Day8 こもれび

 ちらちら、きらきら、と木々の隙間から差し込んだ光が地面をまだらに染めていた。

 自転車で大声で笑いながら駆けていく高校生の三人組。

 イヤホンからシャカシャカ音を漏らしながらランニングする若い男性。

 健康器具を兼ねたベンチで伸びをする老女と足元で伏せている芝犬。

 ゲートボール場へ向かってのんびり歩いていく胡麻塩頭の御一行様。

 照り映ゆる若葉の上にいた昨日の雨垂れが、緑を吸って地面に落ちる。

 母親に見守られた幼児が、おぼつかない足でこもれびを追いかけていた。

 その様子を見た通りすがりの車椅子ユーザの女性は、ふっと口角を上げる。

 木陰の光は皆に平等に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る