第7話 ダンジョンとオフ会1

 週末のオフ会までに用意するアイテムと装備を考える。


 場所は俺が良く行くC県F市ダンジョンで、目標はダンジョンオオカミ。


 いわゆる無策で挑むと地獄の相手だが、対策アイテムがあるとボーナスモンスターと化すような知識の有無で恐ろしく変わる相手だ。


 そのための特性かんしゃく玉と爆縮オレンジな訳だ。


 一応コミュニティに既に貼っていて、やり方次第で成果が大きく出そうな為に、ここに決まったという経緯がある。


 群れに対してかんしゃく玉は3つほど使うが、オレンジ1つで4つほど作れるため、10個分の40個ほど作ればとりあえずは問題ないと言うことになった。


 幸いにも皆の住所が地域で纏まっていた為、開催は問題ないとの返事が来ている。まあ、それでも2名ほど新幹線使用らしいので金銭的に負担を掛けているんだけど……それについては大丈夫だとか。


 さて、考え事は終わったので……実食タイムである。


 爆縮オレンジを次元収納から取り出して慎重にお玉で鍋の中に入れる。


 規定の時間が経ったら沸騰したお湯から出して、熱いうちに包丁で4等分に切ってラップで包んで冷凍庫で冷やす。


 一応ゲーム時代はこのやり方で食材カテゴリになったらしいが……どうなんだろう。

 補足だけど、茹でる前の爆縮オレンジは……素材カテゴリである。


 一応、この実験は割と大事で、これが成功すればゲーム時代の知識は参考に出来るという実績になるし、駄目なら駄目でリアルになったことへの影響がどのくらいか調査できる。


 さて、余裕を持って30分待ったので取り出してみる。


 凍ってはいないけどめちゃくちゃ冷たくなっている。


 常温に戻すとどうなるかは聞き忘れたのでこのまま食べることに。


 いざ、実食。

 旨い……。なんというか、普通のオレンジよりも甘い。それでいてくどい甘さじゃ無くて、あとから酸味も来る。語彙が貧相だからなあ。


 フルーツ系の甘さがすっと来て、そのあと酸味が来るんだけど、どっちも後を引かないから半玉食べても全然余裕でもっと食べられそうだ。


 そういえば……最近は疎遠だけど高校の後輩の子で、親が料理人って言ってたな。頼めないかな。


 連絡取ってみるか……?

 一応コミュニティにも写真と感想、知り合いに調理を頼んでいいか確認取っておこう。


 ああ、簡易槍のもうちょいマシなやつを調達したいのを忘れていた。

 それに偽装用のポーチやらも相談しないとな……。


 こう言うのもあるから一旦休憩するのがいいんだよな。


 槍は前回の使用感として、刺さったら抜けなかったり、グリップが無くて滑ってしまったりと問題は割とあった。


 だけど、モンスターは命が尽きると消滅する性質から何となくなあなあで出来ちゃいそうな感じでもあった。


 例えば、ダンジョン低層のバッタはいわゆるノンアクティブで、こちらから攻撃を仕掛けなければ襲ってこない。


 そのうえ草食なので攻撃も簡単に躱せるのでサクッと倒せてしまう。


 そのため、ダンジョン低層の最適解は囲んで棒で殴ることだ。


 3人とか4人でこん棒のような鈍器で一斉に殴りつける。


 これが出来ればだいたい倒せるし、ゲーム時代でもこれで序盤のレベリングをすることもあった。


 反撃のリスクが無いから全く稼げない上に効率も宜しくないことを除けばかなり有用だったなあ。


 そういや高校時代にダンアタ初心者に勧める小技とかを纏めたノートとか作ったっけ?

 あれどうしたかっけな。


 とにかく、資金の問題もあるから安く、それなりに使いやすいものとなると自作しかないだろうな。


 市販のグリップ用のテープを巻いて、ナイフを直ぐ抜けるように丈夫で両刃、返しの無いものにしたり……こういうの人に寄ってはめちゃくちゃこだわるところだけど。


 武器は消耗品で後で使わなくなるのが分かっていると、そんなに手間とお金を掛けたくないなあって思ってしまう。

 まあどっちか掛けるのなら手間だよね……とたいして重くない腰を上げて材料を買いに行くことにした。


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