第58話
「まあな。でも親愛もあったぜ? 椎名
「名前で呼ばないで鬱陶しい」
「いいだろ最後ぐらい。
「読みたくないものなんか書きたくない」
「読まなくていいさ。ネットに載せて放置してくれ。俺がいたって証としてな。勿論二度と現れるつもりは
「そんなもの書かないし誰も読まない」
「誰か読むさ。それにお前は必ず書く。明日からとは言えねえ。大人になって、ふと思い出して書くかもしれねえ。お前は俺を忘れないさ。その馬鹿な性格してる限り永遠な」
「有り得ない。何であんたがまた現れるかもしれないきっかけを作るなんて事」
「幾ら考えてもそれらしい理由が付けられない疑問が一つ残ってねえか? お前が足元に捨ててる俺のスマホが、何でこの高校の行方不明になった先輩と同型なのか気になってるだろ? 俺がその女を
化け物と出会ったように青ざめたシーが、俺へビニール傘を振るった。
当然何の手応えも無い。何なら既に俺という存在は消えてるかもしれない。だがそれを、シーがどう書くかは分からない。どっちにしたって俺はいない。これは虚構で、どうせ事実であったとしても、怪奇も幽霊も定義出来る奴なんていないんだから。
いや、いるんだったか? 俺とはこのフィクション上でなら存在している怪奇? それとも誰かの思い出には実在しているいつかの出来事? まあいいさ。『
なあ。これを読んでるそこのお前。こいつを読んでて一度でもビビったか? なら恐れる相手を間違えるなよ。お前が真に恐れてるのは、お前が生まれた時からお前の頭ん中にずーっと居座ってて死ぬまでお前を支配する、脳という名の怪奇なんだぜ。
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