最終話 スライムが仲間になった

少女の後ろ姿を僕は見る。

パッと、白い空間に僕は取り残される。


「ここは....死後の世界なのか?」


目の前には、後ろを向いた、水色の髪の少女がいる。結局、君のことはなにも分からなかったね。


「最後に...君の顔を見せてくれないか?」


少女は、なにも答えない。


「そうだよね...僕は、沢山の人を動物を殺しすぎてしまった。きつと、地獄なのかもしれない。君に会えるこの触れ合える距離をずっと保つことによって、僕に罪を償わせるというものなのかもしれない。」


少女は、微動だにせずなにも答えない。


「それに、僕の顔を見たって、もう誰かも分からないよね。スライムだっ!!って言っても、そんなの分かるわけないし...きっと、違うって、言うだろうね」


話そう。全てを...


「でもね。こんな機会を与えてくれたことに感謝したいんだ。神様はやっばり僕を見てくれていたんだ。って思う。こんなにも触れ合えるきょ...りぃ、で....こんなにも、話を...すぅ、る、ことが...でき....でき」


人間だから...人間だから...こんなに、喋りが変なのかな。



「.......ダメだね。冷静にっ...なって、しゃべらないと....ごめんね。こんなにしゃべって...しゃべって、ばっかで....伝わらないことの方が多いよね。うん。そう思うよ。」


自分に言い聞かせるように、彼女にしゃべる。


「ずっと、会いたかったんだ。あれ?さっき言ったかな。うん。言ったかもしれないな。ねぇ...君は怒ってる?いや、違うな。うん。違うよ。」


大事なことが言えてないじゃないか。ずっと、話にすらなってない言葉ばっか出てきちゃってるじゃないか。


「だから、そ...のね。好きだよ。一目惚れでした。ずっと、好きでした。」


「.......」


少女の髪が、ユラユラと揺れる。あれ?ずっと、聞いていたの?


「私はね。あなたのことを、知らないわ。」


少女は、ゆっくりと振り向く。なんで、君まで涙を流してるの?知らないんでしょ。知らないのに、なんで涙を...


「ごめんなさい。なんて言おうかずっと悩んでたの」


「.....うん。」


「知らないなんて、言ってごめんなさい。ずっと、見てたわ。私が消え去ったあとずっと....」


「....うん。」


気づくと、少女の背後に僕が殺した様々な動物や人が立っていた。チャシャも、土の龍もレッドドラゴンお父さんも...


「ずっと、見てたわ。あなたの末路を」


「みなさん。うん.....」


「あなたの愛は、重たすぎるわ」


「......うん。ごめんね」


「でも、嬉しかった。私は、あなたの恋人にはなれないわ」


「........う.....ん」


「.......でもね。あなたを仲間にすることは、できるわ。あなたがやってしまった罪も、あなたが生きた証も...全て.受け入れて」


僕のことを、みんなは許してくれるのだろうか。


みんな僕のことを優しい目で見つめている。


『みんなが、スライムを仲間にする準備はできている。』


「あ、ぐっ......ごめんなさい。みなさん。ごめんなさい。だから、どうか許してください。」


僕の体は、青い色のスライムへと戻っていた。


水色の少女は、飛びついていきたスライムの体をそっと抱きしめる。


『スライムが、仲間になったっ!!』

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