第24話 帝国


 盗賊達を捕縛した後、俺たちは中を探索した。

「財宝とかないのかよ」

「あるのは銀貨ばっかり」

 捕まっていたあの村の人たちは逃したし、あとは財宝とかあるかと思えば貧乏盗賊団だった。

「盗賊になってもこれかよ」

「う、うるへー、こっちだってしょうがなかったんだよ」

「誰に口を聞いている」

「エリー、暴力はさっきのでおしまいな」

「はい」

 おおう、エリーが怖かった。

「お前達はこれから村の人にでも渡して処分してもらうから」

「けっ!村だったらすぐ抜け出してやるぜ」

 む。そうかもしれないな。

「おおい!街があっちの方にあるってよ」

 ダイジロウが聞いて来てくれたらしい。

「んじゃ、その街まで連行していくか」

 車を出すとその後ろに荷馬車をくくりつける。

「落ちると死ぬから気をつけろよ?」

「なんだと!」

 荷馬車に四十人近く入れるのはたいへんだった。ほとんどが立っている。

「よし、落ちないように縄でグルグル巻きにしといたぜ」

「本当にこれで大丈夫かな?」

「大丈夫だろ?キスの嵐だろうけどな」

「「「あははは」」」

 おっさん達が狭い空間で立って並んでいれば揺れると大変だろうな。


「じゃあ発進」

「「「「ウオオオオォォォォ」」」」

 ナビには街があるのが分かる。

 街まですぐだな。


 街に着くと門兵に事情を説明し、盗賊達を出すと酷いことになっていた。

「すまんな」

「キッツイだろうな」

「まぁ、いいだろ?」

「「だな」」

 盗賊退治をしたのに討伐金はちょっとだけ。

「なーんか、損した気分」

「まぁ。あの村が救われて良かったじゃないか」

「まあな、それよりここは何処になるんだ?」

「ここは帝国領になるみたいですね、紋章がありましたので」

 エリーが知ってるらしい。

「そっか、んじゃ隣の国ってこと?」

「そうです。いまいるのはガルド帝国、イシュタル王国とは戦争状態ですね」

「げっ、敵国かよ」

「海を渡ればすぐなんだな」

「そうですね、ジョー様の船は異常ですから」

「ジョー様はやめてね、ジョーでいいから」

「もういいじゃんジョー様で!」

「そうそう、毎回これだもんな」

「うっせぇ」

 街の中を見て回るとそんなに活気があるように見えない。

「負け確じゃねぇ?」

「多分な」

「ならさっさと戻るべ」

「だな」

 車に乗り込むと急におってくる兵士達を撒いてあの村に帰って来た。

「なんだったんだ?おっかねぇ」

「車を奪い取ろうとしたんだと思います」

「げっ!兵士のくせに盗賊かよ!」


「さっさと海に帰ろうぜ」

「あぁ、さっさと帰らないと危ないかもな」

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