壊れたおっさんの物語RE:

@tomato197775

第1話 とある職員さんの送別会

退職する日は分かっていた。だから僕はひたすらその日の話題を避けていた。

もう冗談も仕事の指導も仕事のお手伝いもできない事が苦しかったからだ。

趣味の合う職員さん。そんな感じの関係性だった。

ボーカロイドの話、アニメの話、仕事の指導、笑い話、そんな話をするただの指導員のスタッフと作業所の利用者の一人と言うだけの関係性だ。

それなのに悲しい、ただ悲しい。

何が悲しいのか分からない寂寥感。

死に分かれた訳じゃ無いのだ。

職員さんは新しい人生を歩み、僕は僕の再生の時間を追いかける。

だから今日は僕はいつも通りの生活をするのだ。

ただそこには、コーラとウィスキーとポテトチップスがあっても良いのかもしれない。

職員さんの新しい道の幸せと成功を祈って。

今日ぐらいは少し強がっても良いのではないだろうか?

職員さんの笑い声を思い出し、やはり悲しく感じる。

自身に悪態をつきたくなる。こんな時に限って統合失調症の陰性症状が出て、感謝の言葉も寂しい言葉も伝える事ができない。

でも僕は立ち止まり、お酒を飲むことはあるかもしれないが次の日には歩いていく。

悲しいのなら今日は悲しんで明日を明るく生きよう。

それが僕が僕を救済するための物語じんせいだからだ。

だから職員さんには祝福を、心よりの祝福を。

職員さんに幸あれ。

                                   終わる

  

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