第24話 ダンジョンで四季を味わおう! 針葉樹エリアで栗拾い! 栗から生まれる錬金術の神秘とは?(ダンジョン栗の渋皮煮でティータイム)

はいどーも! ダンジョンやす田チャンネルの、ダンジョンマスターやす田です。


春は桜、夏は海、秋は満月、冬は雪。

世界には四季がありますが、冒険者とダンジョンに季節なんて関係ない、なんて、思っていませんか?

今回は、ダンジョンに四季を探しに行ってみましょう。外は短い秋ですが、果たして、ダンジョンに小さい秋は見つかるのでしょうか。

それでは、行ってみましょう。



それは営業開始前のミーティング中、真理さんが言った一言から始まりました。


真理「あ~、くり! 栗が食べたい!」

梶「唐突ですね」

真理「錬金術師にとって秋は栗なのよ!」

志布「もうそんな季節なんですねぇ」


最近は朝のミーティング中に志布さんがお茶を淹れてくれるようになり、助かっています。寺院に来た冒険者にも淹れてあげるらしいですね。ちょっとしたお悩み相談なんかの時に出してあげると大変喜んでもらえるとか。


それはともかく、季節は秋。そして、錬金術師にとって栗は秋しか取れない重要素材だそうです。

というわけで、日課のダンジョン内パトロール中に、栗を探そうと思います。

今回のパトロールは志布さんと一緒です。


志布「たまに歩かないと、体が鈍っちゃいますからね」


何気に志布さんは司教ビショップになってから初のダンジョンですね。

今回パトロールするのは、そういうわけなので針葉樹エリアです。以前回った樹林エリアに隣接してますが、気候が変わり、空気が乾燥しています。生えている植生も変わっているので、境界線がけっこう、はっきりと目に見えていますね。

このエリアでは、凶暴なトレントが隠れていたり、他のエリアから紛れてきた屈強な中上位のゴブリン亜種やオーク亜種、地面に落とし穴状の巣を作って獲物を待っている巨大肉食アリといった昆虫系モンスターなどが潜んでいます。

こういうエリアでは、接敵時にうまく樹木を使って距離を調整するのが戦闘のカギですね。


さて、こういう場所では堆積した枯葉の下なんかに冒険者が使い捨てた道具や、壊れて捨てた武器や防具、厳選の結果放置されたモンスターの死骸などが見つかることがあり、それらを回収するのも、ダンジョンマスターの大事な仕事です。

ダンジョンには自然浄化機能があって、多少のゴミや斬り飛ばされた生物の部位などでも、ダンジョン外の数倍の速さで分解してしまいますが、あまり大きなものは分解に時間がかかるし、環境の悪化につながります。

冒険者が何気なく利用しているダンジョンも、ダンジョンマスターの経験と勘で維持されています。

皆さんも落とし物や倒したモンスターの死骸などは、きちんと処理しましょう。


とりあえず、エリア内のパトロールは一通り終わったので、真理さんからのリクエストである、栗を探しましょう。

針葉樹エリアに植わっている木々を巡って、立派な実をつけた栗の木を見つけました。

こういった採集ポイントもダンジョンのウリの一つなので、覚えておきましょう。


やす田「でっかいいがだ」

志布「ダンジョンの果物って基本大きいですよね」


落ちてる毬を割ってみましょう。……中は意外と普通ですね。

ともかく、志布さんと手分けして、栗を拾っていきます。もしかしたら毬も必要かもしれないので、適当な大きさの毬付きの奴も拾っておきましょう。


やす田「志布さん、この棘、根元から取ったら武器になりそうなくらい長いですよ」

志布「これはまだ若い実だからちょっと柔らかいけど、熟した栗の毬はすごく硬くなるよ。質の低い防具だと、落ちてきて穴が開くよ」

やす田「マジですか……」


元盗賊として冒険者をやっていた志布さんは、さすがにいろいろと物知りですね。

自分もダンジョンマスターとして日々、勉強中です。


袋がいっぱいになったので、セーフゾーンへ帰りましょう。階層を移動して、テレポーターのある樹林エリアに入って、そこからあっという間に帰還完了です。

いやぁ、テレポーターって便利ですねぇ。


パトロールの結果を、メンバーに報告します。今回拾ったのは、剣が一本、大型獣モンスターの死骸、その他もろもろ、そして栗です。

とりあえず剣は、何時どこで、どういう環境で拾ったのか詳細な目録を作って、ファイルしておきます。こうしておけば、落とし主が現れた時に倉庫から出しやすくなりますからね。

死骸に関しては、手作業で解体して、専用の廃棄ポイントに廃棄します。

真理さんが来てくれたので、栗をお渡しします。


やす田「はい真理さん、ご依頼の栗、採ってきたよ」

真理「わぁ、ありがとうリーダー。あ、でも中身ばっかりだね」

やす田「そりゃ栗の実が食べたいって言ったからさ」

真理「栗の実は美味しいけど、錬金術師としては外の毬も大事」


最初からそう言ってくれればよかったのに。とはいえ、真理さんには満足してもらえました。お礼に栗の一部を分けてもらったので、今日はこれを調理しておやつにしてみましょう。

ダンジョン栗の鬼皮を剝いていきます。普通の包丁ではまったく歯が立たないくらい、分厚くて硬い皮をしています。そこで、今回は『やす田の剣』を使って皮を剥いていきます。


志布「すごい危なかったしいですね……」

やす田「こんど梶くんに特製の包丁を作ってもらおう」


なんとか皮が剥けました。渋皮を残した状態でオッケーです。これを鍋に入れ、水がひたひたになるまで入れて、火にかけます。煮えてくれるとお湯の表面に大量の灰汁が浮いてくるので、これを掬っていきます。

灰汁が出なくなったら、一旦火からおろして、栗をザルに開けます。


やす田「ダンジョン栗は灰汁抜きが楽でいいね」


次に、味付けの煮汁を作ります。栗が浸るくらいの水に、水の量の半分くらいの砂糖、もしくは水あめを入れ、香り出しのために今回はミスティカというハーブを使います。ミスティカは水辺などで採取できる滋養効果のある一年草ですね。ミントっぽい爽やかな香りがします。

弱火で水分がなくなるまで、じっくり火を入れていき、煮汁にとろみが出てくるまで煮詰まったら、完成です。


それではいただきましょう。今日は志布さんが淹れてくれたお茶と一緒にいただきます。

ふむ。しっとりした舌ざわりに自然な甘さとミスティカの仄かな香り。非常に大人なスイーツに仕上がりましたね。これを一口食べて、お茶を飲むと、大変に心が和みます。あ~、腰に根が生えそう。


次の日。真理さんが自信満々に昨日渡した栗の毬を手にやってきて、毬を渡してくれました。


真理「はい、リーダー。これ使ってみて」

やす田「使うって、何を」

真理「栗だよ、栗。ほら、試射場行こう」


なんだかよくわからないまま試射場に連れてこられたので、言われるままに的へ向かって、栗を投げます。


やす田「うりゃっ」ヒュン ズカァン!


的に当たった栗が爆散しました。あの鋭い棘が無数に飛び散って、的が穴だらけになっています。これは恐ろしい威力です……。


真理「よし、成功。これこそ錬金術師の秋、栗の味わい。リーダー、これうちで冒険者に卸してもいいかな」

やす田「絶対ダメ」



はい、今回の動画は以上です。最後までご視聴ありがとうございます。

ダンジョンで栗拾い、いかがでしたか。季節によって採取できるアイテムも、採取ポイントも変わります。いちど攻略し尽くしたと思ったエリアも、時期を変えて潜ると別の味わいがあります。たまには、過去に潜ったエリアにも行ってみてください。


自分たちはG県M市、T市でダンジョンやす田というダンジョンをやっています。G県には、多彩なモンスターや採取ポイントをもつダンジョンがたくさんあるので、もしG県に来た際には色々挑戦してみてください。


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