第16話 不思議で便利な「精霊」を使ってダンジョンを改造する!ギミック設置の裏側を公開します!(今日は豪華にエントステーキ)

はいどーも! ダンジョンやす田チャンネルの、ダンジョンマスターやす田です。


見えるんだけど、見えないもの、なーんだ? そんな問いかけをその昔聞いたことがある方、たぶん同世代です。

今回は、普段は見えないけど、見えている人には見えている、精霊について紹介していきます。

それでは、やっていきましょう。


そういうわけで、今回は精霊を紹介します。ダンジョンには基本的に、水・火・風・土・光・闇の、六種の性質の精霊が存在し、それぞれの勢力の大小によって、そのダンジョンの環境が決定していきます。

また火と水、風と土、光と闇はそれぞれ反発する性質があるため、同じ場所にそれら二つの精霊を実体化させることはできません。


プレ・オープンに向けて改装中のウィルダネス・ダンジョンで、実験してみましょう。

こちらにある器具が、空間中の精霊比率を見るための、霊度計です。ガラス製で、断面が六角形になる柱の形をしていますね。この柱の各面が、それぞれの属性の色でその場の精霊がどれくらいの割合で影響を及ぼしているのかが、分かるようになっています。

この霊度計は真理さんの手作りです。大きくて見やすい形になっていますが、もっと小さくて携帯しやすいデザインのものが流通している場合もあります。興味があれば冒険の際に持っていくのも面白いですね。


このダンジョンは開けた草原なので風と土の勢力が比較的強いですね。点在する雑木林に入ると、風が衰えて、代わりに水の勢力が高くなるのがわかります。


雑木林の中に冒険者向けの休憩所になる湧き水を設置するため、ここの水精霊をより強くしてみます。垂飯降くんの指示に従って、地面に色粉で印を描いていきます。これが結構難しいんですよね。色粉で線を描くのが大変で、何度も失敗してしまいます。

見かねた垂飯降くんが、チョークをくれました。最初からこれを使わせてほしいですね!


雑木林の中に、精霊を集中させる印を描いていくと、徐々に辺りの湿度が上がっていきます。気温は変わらないのに、なんだかすごい蒸す感じですね。霊度計も、水の値が振り切れそうです。

十分に水精霊が高まったところで、垂飯降くんが湧き水設置予定の場所に立って、精霊を呼び出して実体化させました。


垂飯降「ウンディーネ。ここに湧き水を起して欲しい」


偉そうに垂飯降くんがいうと、うねうねした水精霊が地面に潜り込んで、水が吹き上がりました。慌てて自分と垂飯降くんが周りから取ってきた木や石で囲いを作って、水がたまる窪地にします。ある程度の水量が溜まったところで、余分な水を流せる溝を雑木林の外へ流れるように掘って、完成です。


もう一か所、別の場所で精霊を呼んでみましょう。このダンジョンは敷地内を歩きながら印の付いた石を集めるギミックがあります。石を七つ集めた状態で、ダンジョンの奥にあるストーンサークルに安置すると、ボスが出現する仕組みです。


こういったダンジョンギミックの制作にも精霊が活躍してくれます。今回は複雑な作業なので一部は割愛しますが、基本的には先ほどの湧き水設置と同じように、色粉やチョークを使って所定の位置の精霊の比率を調整するところから始まります。その後、ギミックのためのストーンサークルを設置します。


垂飯降「ノーム。ここに石を並べてくれ」


また垂飯降くんが命令してますね。こういった精霊起動型のダンジョンギミックは、ダンジョンマスター向けにプロの設計技術をもつ精霊使いが企画することも多いです。十何階層もある巨大なダンジョンの、目玉になるような複雑で美しいギミックは見ていて感動しますよね。

自分たちのダンジョンギミックは基本的に自分たちで設計します。今回は精霊使いの垂飯降くんの設計ですが、機械仕掛けのギミックの場合は、梶くんの設計になります。そちらもいずれ紹介できればいいですね。


そんな風に話しているうちに、ギミックの下準備が出来ました。各所に撒いた色とりどりの粉で引いた線や印、それらをつなぐような形で垂飯降くんが棒のような道具を地面に突き刺しています。これは線に沿って集まる精霊の力を一時的に強化するもので、よく見ると棒の表面に、びっしりと複雑な印が彫り込んであります。


垂飯降「イフリート。ここに留まれ」


垂飯降くんの声でストーンサークルの真ん中に、真っ赤な姿のボスモンスターが呼び出されました。その状態でストーンサークル内のギミック石を外すと、ボスがギミックにセットされます。

セットを確認するために、もう一度ギミック石を設置します。サークル内のエフェクトがしっかり発動して、ボスが出現しました。これでギミックは完成です。


やす田「ボスが倒されたらそれも補充するのかな」

垂飯降「サークルが自動で精霊を補充してくれますよ。少し時間はかかるけど」


メンテナンスの手間が少ないのは、いいダンジョン設計のコツです。垂飯降くんもなかなか分かるようになりましたね。


仕事が上手くいったので、今日は垂飯降くんのリクエストで、エントミートを使ったダンジョン飯をします。

エントミートとは、エントという樹木型モンスターから採れる可食部位です。エント自体の見た目はほぼ木で、表面は硬い樹皮で覆われているので、とても食べられませんが、その樹皮を丹念に剥いていくと、芯の部分に、たんぱく質で出来た部位があります。これがエントミートです。

エントは倒すのにも苦労するし、食べるのにも苦労するので、エントミートは希少食材ですね。今回はこれをワイルドな方法でステーキにしていきます。

まず、エントミートを採る過程で採取した、エントの樹皮を使って火を熾します。エントの樹皮は独特の薫香があり、各種の素材としても需要があります。その樹皮で起こした火の中に、塩と胡椒をすり込んだエントミートを置きます。

炭化したエントの樹皮の上で、エントの肉を焼く。これは贅沢極まりないですね。

誰ですか、サイコだなんていう人は。これは立派なダンジョン飯です。ダンジョンの中で採れる食材と着火剤だけでほぼ成立するので、余計な持ち物を使わなくていいのが利点ですね。欠点は、後々でものすごく後悔するかもしれないことですかね。

エントミートに火が入ってきたので、炭の上から引き揚げてカットして、完成です。


いただきます。肉に合わせるなら酒です、ということで、垂飯降くんが持ってきたバンブー酒で乾杯です。バンブー酒はバンブー・エルフの集落でのみ製造される、自然発酵アルコール飲料です。バンブー・エルフが管理する竹の中に溜まった水分が、長い時間をかけて発酵して出来るもので、市場には出回ることが少ないです。

こんなお酒を持ってくるなんて、どうやら垂飯降くんは、最初からここで一杯やるつもりだったようですね。


垂飯降「ここの雑木林にエントがポップするのは、前から分かってましたからね」


どや顔で言い放つ垂飯降くんを後目しりめに、エントミートステーキを戴きましょう。脂肪分が少なくて、いわゆる脂の旨味みたいなものはありませんが、その代わり赤身肉を食べたようなしっかりとした肉の旨味、そして鶏肉に似た歯切れの良さがあり、とても美味しいです。エントの樹皮の薫香も相性が抜群です。これはバンブー酒が進みますね。



はい、今回の動画は以上です。最後までご視聴ありがとうございます。

ダンジョンの精霊についての紹介、いかがでしたか。ウィルダネス・ダンジョンやす田のプレ・オープンまであと少しです。点在する雑木林でエントを狩るのも良し、ギミックを集めてイフリートと戦うもよしの、歯応えあるダンジョンで、冒険者のみなさんをお待ちしております。


自分たちはG県M市、T市でダンジョンやす田というダンジョンをやっています。G県には、多彩なモンスターや採取ポイントをもつダンジョンがたくさんあるので、もしG県に来た際には色々挑戦してみてください。


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