【3】異外者(イレギュラー)の危険性

 先に動いたのは、アラハバキだった。


『背後に浮かせていた瓦礫を少年の頭上に広く分布させ、ランダムに射出する』。


「そら、躱してみろッ! 」


 空き缶が、小石が、木の根が、少年の上から時速二百キロで落ちてくる。しかし少年も異外者イレギュラーであり、ただ速いだけの物体ならば辛くも回避出来る。


 なのでまあ、速いだけな理由わけが無く。


「糞が……ッ! 」


 少年は必死に弾を避けているにも関わらず、身体の端々から血を流していた。

 その原因は、彼の周りの舗装された地面がひたすらに抉れていることから察しがつく。とんでもない速度で放たれた瓦礫が地面にぶつかり、その破片すらも弾丸となって少年を襲っているのだ。

 そして器用に致命傷となる部分が避けられていることから、『破片さえもアラハバキがコントロールしている』ことは明らかだった。


「どうした、威勢のいいのは最初だけかッ!? 」

「ッるせぇよ、チート野郎が……ッ! 好き放題バカスカ撃ちやがって……! 」


 アラハバキは少年の様を嘲笑う。彼もまた、弱者の蹂躙ではなく事実上初めてと言える戦闘でハイになっていた。


「戦い始めて幾分も経っていないが、君が中々にやれる・・・人間なのは理解出来る。少なくとも、そこに転がる中年男性ウォールマスターよりは。悪いが実験台になって貰おう。試したい技が沢山あるんでねェ! 」

「ザコ狩り以外の戦いは初めてか? そりゃ好都合だ! 鉄火場を知らんクソ童貞がッ! そのまま死ぬまで油断してろやァ! 」


 少年はそう啖呵を切ると、猛然とアラハバキのいる前方向に回避しつつ突撃した。

 瓦礫を射出しつつ、冷静に『後ろに下がって浮遊する』アラハバキ。だが少年は一切足を止めずに突っ込み、アラハバキの下をスライディングしつつ潜る。


「食らえッ!! 」


 そして、クロスして構えた拳銃を『発砲』した。


「鉄砲如きで私に適うつもりか馬鹿がッ!」


 アラハバキは『空中で回転して、真正面から弾丸を捕らえようとする』。実際、その試みは成功したかに見えた。

 しかし次の瞬間、アラハバキの右肩に鋭い痛みが入ってきた。


「グゥッ━━!(弾丸全てを全く同じ箇所に当てて、こちらの目算を崩した……!? )」


 着弾の衝撃でくるりと回転した折、を見た。数珠繋ぎのようなソレは、異外者イレギュラー の人智を超越したチカラを示すのに十分な代物であった。


「虎の子だ、貰っとけェ!! 」


 スライディングから背筋で跳ね上がった少年はその勢いで三発のグレネードを放り投げ、『射撃で弾き』変則的な弾道で攻撃する。


「うおおおおッ……! 」


 アラハバキは咄嗟に『瓦礫を固めてグレネードとの間に壁を作る』。


 空間装甲という、破片を外側の装甲でガードし爆発の衝撃を空間そのものと内側の装甲で軽減させる、戦車に使われる防御手段があるが、正しく彼は『瓦礫の壁』と『纏っている力場』でそれを再現してのけた。


 硝煙が晴れて、アラハバキがフラフラと着地する。


「耳、痛……。危なかったな……」


 人生で初めて、爆発物を至近距離で食らったアラハバキ。

 久方ぶりに、彼は命の危険を感じていた。


「……マジか」

「マジだよ。先程『虎の子』だとか言っていたが、アレが今の君に出せる最大火力か? だとしたら、御愁傷様。君に私は殺せない」


 一方の少年は、ただピンチを感じる程度で済まされたことに対して大きな焦燥感に苛まれていた。

 覚醒した後に、事務所からありったけ持ってきた銃や爆弾。隠せる分だけ持ってきたが、それの大半は既に使い切っていた。


「……まだだ。まだオレには奥の手がある! 終わっちゃいない━━終わっちゃいないッ!! 」


 しかし、それを教える義理はどこにもない。少年は吠えて虚勢を張るが、アラハバキは鼻で笑って受け流す。


 そのとき、二〇三九年に生きる者なら誰しもが聞いたことのある、特徴的なサイレン音が聞こえた。

 パトカーでも、救急車でも、消防車でもない。

 しかし、ある意味ではそれら全てを備えたモノ。


『不審な爆発音を検知しました。避難してください。A suspicious explosion sound was detected, Please evacuate━━』


 警備機械セク・ボット


「チッ……! 」

さて。タイムオーバーだ、少年」


 誘導灯や電光板を装備した派生種が公園一体を取り囲み、身体の左右から規制テープを発射・接着して隔離する。中に侵入したボットは爆発音の原因を捜索する部隊と、中にいる二人の人間を確認する部隊に分かれる。


『人相確認:アラハバキ・八坂谷 冬弥ヤサカダニ トウヤ。共に特一級確保優先対象プライオリティ・ワンプラス。警備武装、最大解放します。離れてください』


 二人の顔画像(一人は仮面だが)を認識したボットはクラウドサーバーから同一人物のデータを確認、個人を特定。対象が対象だけに、抱える武装を全て解放し、警備というよりは殺戮機械のような様相をあらわにした。


「まー怖い」

「…………」


 例のBWT襲撃事件でもそうだったが、アラハバキ相手にボットは無力である。しかし少年━━冬弥にとっては、回避し切れないゴム弾の斉射で命を落としかねない絶体絶命の状況である。


「どうするつもりだい? 冬弥君。この数のボットに制圧されたら、いくら異外者イレギュラー とはいえ身体中の骨が砕けて死ぬだろうさ。嫌な話だね」

「……馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇよ」

「だが━━助けてあげよう。私が」


 その言葉に、唖然とする冬弥。


 助ける?

 オヤジの仇が?

 オレを?


「は……? なんでそうなる……? 」

「例の演説、知ってるだろ? 『如何なる場合に於いても人を殺める事は無い』。私はそう宣言して、今に至るまで忠実に堅守している。その一環さ」


 ボットが何やら警告を発しているが、冬弥の耳には届かない。


「だから、オレを助けると……? 撃たれたのにか? 」

「ああ」

「殺されかけてるのにか? 」

「ああ」

「殺し合ってるのにか? 」

「ああ━━いや! いや、それは違う。訂正しよう」


 アラハバキはそう言うと冬弥に近づき、ぬるりと下から顔を覗き込んだ。


「私は君を殺さないよ。決してね」


 まるで寝付けない子どもを安心させるように、彼は冬弥に言い聞かせる。

 仮面の目、うろのような真黒い穴は、微動だにせずこちらを捉えていた。


「ま、多少痛めつけはするがね。簡単に気絶させられるなら、それが理想なんだが」

「……お前……お前は……」

「ん? ……だって、考えてもみたまえよ! 本当に殺すつもりなら、撃たれた瞬間に君の首を捻じ切って然るべきだろ? だが勿論、そんな事はしない。それはそれとして、危険人物の君には戦闘不能になって貰いたい。死なせはしないが、万全で活かしもしない。ここの加減が本当に繊細で、難しくてね……」


 まるで創作の苦労を語る芸術家のような調子で宣うアラハバキ。そのうち自分だけが一人喋っていて、冬弥が黙りこくってしまっていることに気づいたので、話を切り上げることにした。


「ま、なんだ。何をしようが君が死ぬことは無いから、安心して襲って来るが良いさ。愉しくやろう、お互いに」


 そう言って、にこやかに冬弥の肩をポンポンと叩いた。


 わざわざ明言する必要も無いことだが、ここまでのアラハバキの喋りは完全な挑発である。


『お前のやってることは所詮ガキの遊びだし何を目的としていようがその点は変わらないが、私は大人だからそんな遊びにも付き合ってやるよ』


 という意味の。


「……ハハ、そうかそうか。なるほど、なるほど。よく分かった」


 アラハバキが冬弥の人となりをどこまで把握していたかは未知だが、仇討ちを目的としている少年にとってこの煽りは奇跡的なまでに突き刺さり、尋常ではないほど効いたのだった。


 憤怒と憎悪が腹の底から湧いてくる。頭は耳まで熱くなり、後頭部の辺りがズキズキと痛んでくる。握り締める拳銃のグリップは、若干ヒビが入り始めた。


 それを無表情な仮面を通して見るアラハバキ。


 そして、冬弥が移した行動は━━。


「じゃ、助けてくれよ。アラハバキ。まだ死にたくねーんだ、オレ」


 アラハバキは、無感情に答えた。


「了解した」


 ━━


「とりあえず、歌舞伎町まで」


 そう言われたので、『冬弥と一緒にアラハバキは空を飛んでいた』。


 今頃、公園のボットはありもしない爆発物を捜しているか、消えた二人を捜索しているだろう。


「済まなかったな、アラハバキ」


 仰向けで飛ばされながら、冬弥はポツリと呟く。


「え? うん、別に気にしてないよ」

「いや、言わせてくれ。オレはお前を殺そうとしていた。極道の端くれとして、何らかの形でケジメはつける。だが、訳あって当分は難しいから、今は謝罪だけで我慢してくれ。本当に済まなかった」


 夜風に当たって頭も冷えたのかな、などと考えるアラハバキ。


「君、ヤクザなの? 」

「ああ。下っ端も下っ端、ただの鉄砲玉だがな」

「へぇ。じゃあケジメって、もしかして小指切るやつ? 」

「そりゃまあ」


 その言葉に、アラハバキは首を振る。


「止めてくれ! 君に小指切られたからどうだって言うんだ、痛々しい……」


 アラハバキ……というかハバキは、『謝罪は言葉ひとつで十分であり、それ以上はむしろ迷惑』と考えるタイプの人間であった。

 他人に対しても、自分に対しても。

 そのせいで、真摯な・・・謝罪を求める人間との間で拗れたトラブルは数知れない。


「小指代わりに、話してくれないか? なんで私を殺しに来たのか」


 個人的な好奇心から、アラハバキは聞く。


「ああ……まあ有り体に言えば、仇討ちだな。うん」

「仇? 私はヤクザ者を殺した記憶なんて無い━━」


 その言葉を遮るように、冬弥は目的地に到着したことを告げる。


「あ、ココだ。ココで下ろしてくれ」


 ━━少し、空気が変わったのを感じた。


「ここで良いのか? ただの通りだが……」


 パァン。


「…………」

「……フフッ」


 パァン、パァン、パァン、パァン。


「止めろ。撃つな」

「死ねば止まるぜ」


 パパパパパパパパパパパパパパ━━。


「ウワァァァ!! 」「テロだ、逃げろォォ!! 」「乱射だ乱射! ヤバイってマジで!!! 」

「止めろッ!! 一般人を巻き込むなッ!! 」

「ヒャッハハハハッ!!! 分かったぜテメェの弱点ッ!! ヒャハハハハハハハハハハハハァァァッ!!! 通り一帯丸ごと人質だッ! オヤジの仇、死んで償えアラハバキィィィッ!! 」


 狂ったように笑いながら、通行人に誰彼構わず撃ちまくる冬弥。その弾丸を『出来る限り失速させてその場に落とす』アラハバキ。

 しかし弾丸のスピードは異外者イレギュラー であっても反応するのに骨が折れるもので、しかも冬弥は跳弾も駆使して的確に頭部もしくは心臓を狙ってくるのだ。


「あ、アラハバキ……! 」「助けて!! 死にたくない!! 」「お願いします!! お願いしますから!!! 」


 民衆は誰も彼も、アラハバキの元へと走り込む。


「頭を下げて、私の視界に入って! 全てを賭けて君達を守るから! 」


 的確に指示を飛ばし、同時に善人ポイントも稼ぐアラハバキ。しかし彼もここまでの規模で能力を行使したことは無く、息も荒くなっている。


(マルチタスクも大概にしろよ……! )


 もはや手が足りなくなったアラハバキは、『放たれる弾丸を止めながら』冬弥に向かって殴りかかるしかなかった。


「お前の仇は私だろう!? わざわざ他の人間を撃つ理由があるか!? 」

「今更聞くなよ分かってる癖によォッ!!! 」


 拳を振り抜くアラハバキ。本当はこちらにも能力を込めたかったが、『万に一つも民衆に銃弾を当ててはいけない』という状況の中で、そちらに回す思考リソースは完全に枯渇していた。


「その手を止めろッ!!! 」

「ヒャハハハァッ!!! 」


 狂笑しながら、冬弥はド素人のパンチを加速する前に額で受け止める。

 当然、両手は未だ民衆を『撃ち』続けている。


「なまっちょろいぞアラハバキィィィッ!!! 」

「……ッ! あぁそうかい分かったよッ! テメェの安全なんか知るかッ!! 」


 業を煮やしたアラハバキは、ついに覚悟を決める。


 最初から考えてはいたものの『冬弥が死ぬ可能性が高い』ことから使わなかった技。それを使う覚悟を。


「空の彼方で大人しくしてろッ! 」


 そう。『強制的な上空射出』である。


「グォァァァッ!! 」


 冬弥は、自らが撃つ弾丸とほとんど同じ速度で上空へと吹き飛んでいく。掛かるGは計り知れず、頭から血が抜けて失神する。


 しかしそこは異外者イレギュラー 。速度が緩まると直ちに回復し、身体を回転させて頭に血を戻した。


「落ちて来る頃には、戦意を喪失してるだろう……そうであってくれ……」

「テメェ!!! 果たし合いの最中にソレは反則だろうがァァァ!!! 」


 吠える冬弥。

 いきなりパンピーにチャカぶちかました奴が、吠える。


 そのとき、彼の脳裏に電流が走る。

 最初に戦っていたとき、アラハバキがやっていた『上空からの撃ち下ろし』。


 ……今なら、自分も出来るのでは?・・・・・・・・・・


「意趣返しだぜアラハバキィィィ! 」


 高度千メートルから、冬弥は拳銃を構える。

 普通ならば到底当たらない、どころか技量の前に物理的な問題で当たるわけが無い状況である。


 だが彼は━━『撃った』。


「馬鹿な、拳銃の射程限界すら無視する気か……!? 」


 上空から聞こえた僅かな発砲音に、最悪のシュチュエーションを想起してしまう。


 そして、それは現実となった。


「キャッ!? 」「うわっ!? 」「ひぃぃぃ!! 」


 先の乱射よりも広範囲の人々へ、次々と銃弾が送り込まれてくる。『なんとかギリギリで止めている』も、もはや視認すら不可能に近い状態である。


「そォら行くぞアラハバキィィィ!!! 」


 高速で落下しながら、回転しつつ『乱射』する。一見ヤケクソ地味て見えるが、その全ては異能による致死性100%の凶器乱舞である。


 そして、遂に両者は激突する。


「死ィィィィィねェェェェェッ!!! 」

「ウオオオオオオオオオオオッ!!! 」


 刹那。

 破壊音。

 土埃。


 沈黙。


「━━オイ。なんで俺は生きてんだ」

「そりゃ、私が助けたからさ……ハァ……。心臓に悪い奴だな、君は……」


 冬弥は生きていた。

 両手の拳銃は粉々に破壊されているが、彼は健在だった。


「テメェは……俺を舐めてる。舐め切ってる。不意を突かれて、民衆丸ごと人質に取られて、そこまでやった結果がコレだ。引き分けドロー。なんなら、お前が肩を撃ち抜かれた分、オレの勝ちとさえ言える。教えてくれよ、アラハバキ。何を持ってして決着を付ける気なんだ? 」

「教えてやるよ、イカレ野郎。答えは君の五百メートル後ろだ」


 アラハバキが冬弥の後ろを指差すと、そこに警察の群れがランプを灯しながら接近してくるのが見られた。


「……ハッ」

「本来なら身柄を拘束して取引に使う予定だったが、銃が無ければ多少力が強いだけだろう? 君は。後は国家の暴力に任せるとしよう。異外者イレギュラーの危険性について、再確認させてくれた礼だ」


 そう言うと、アラハバキはフゥー……と大きな溜め息をついた。

 その背に、怒号が突き刺さる。


「おまッ……ふざけんなよ!!! 殺せよソイツ!!! なんで野放しにすんだよバカか!?!? 」


 そう叫んだのはアラハバキが守った民衆のひとりだった。彼の言葉に「そうだ! 」と賛同する声がポツポツと聞こえる。


 彼の怒りは尤もである。

 が、しかし、アラハバキは面倒くさそうに答えた。


「私は誰も殺さない。善人も、悪人も。ヒーローも、犯罪者も」


 それは無法者の怪人・アラハバキが、利己主義者で嘘吐きの見鹿島 ハバキが自分に課した、たった一つのルールであった。

 その答えに納得できない男は、しかし怒りのあまりに有効な反論が思いつかないという顔で叫んだ。


「……ソイツは俺たちを殺そうとした!!! 」

「だが君達は死んでいない。だから、これは、ここで終わりだ」


 アラハバキの冷たい声が響く。

 両者は睨み合うが、やがて男の方が折れて、背後の人混みの中に紛れて行った。


 いよいよパトカーがすぐ近くまで来たところで、冬弥がアラハバキに対して宣言する。


「……八坂谷 冬弥。破僧会傘下・東京鉄血組組長名代だ。テメェに殺されたオヤジの仇を討つ為に、オレは全てを使ってテメェを狙い続ける。覚えとけ」

「君のオヤジは勝手に自首しただけだよ。私に責任を負わせるんじゃない、迷惑だ。そもそも死んでないし……」

「オヤジの魂は死んだ! あの日お前が殺したんだ! オレのオヤジを奪ったのはお前なんだよ! ━━次は、確実に殺す」


 そう言うと、隠し持っていたスモークグレネードを四つ転がし、煙幕を作り出して逃亡した。


 アラハバキは『予想できる複数の逃走ポイントに力場の罠を仕掛けてみた』が、ソレに引っ掛かる様子は無かった。


 何より、極度の疲労で彼を追う気にもならなかった。


 なおこの後に、


「━━現着、指示を乞う━━アラハバキ発見! 貴様何をしている、逮捕だッ! 」

「五月蝿いな……。銃の乱射から全員傷一つ付けずに守り切ったんだ、少しは感謝してくれ」

「……それとこれとは別だ別! オラ手出せこの野郎! 」

「まだワッパに拘るのかよ!? 学習しないな本当に! それより、そっちとそっちの細道から銃乱射の犯人が逃げた可能性がある! そっちの方が簡単だから先にそっち行きたまえ! 」

「ぐっ……! 二班と三班は乱射のホシを捕らえてこい! 我々はアラハバキを━━あ、アイツ飛びやがったッ! 」


 ……というような感じで警察とも一悶着あったが、一応事件は落着の形となった。


 アラハバキは東京の夜空を飛びながら、ローブの裾を破り右肩の手当をする。


「……つ、疲れた……」


 この夜は、彼の人生の中で二番目に長い夜であった。

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