山にいるもの

望月遥

夏の田舎

はあ、はあっ、と荒い息が耳につく。自分のものと、それから隣を走る彼女のもの。日はまだ高いのに明るいとは決していえない山の中をこうして走り続けてどれくらいの時間が経っただろう。

「まだ、いる?」

 息継ぎの合間に尋ねると、少し後ろを振り返った彼女は顔を歪めて頷いた。

 人の手が入っていない山道は生い茂った雑草に覆われている。背の高いシダと積もった落ち葉で足元は悪く気を抜くとすぐに滑ってしまう。歳も上で運動経験もある自分より彼女の方がしっかりとした足取りなのは、やはり地元で育ったからなのだろう。ざくざくと葉を踏む音を響かせながら走りしばらく経つが、いつまでたっても山頂が見えてこない。

「なんか変や。道が、いつもとちゃう感じする」

 顔にかかる髪を拭って彼女がぼつりと零す。

 これは…迷ったか? 嫌な予感が汗を冷たくさせた。



 部活も引退した夏休み、久しぶりに田舎の祖父母を訪ねたのは俺一人だった。高校最後の夏に暇を持て余す俺と違い、両親は仕事が忙しく、弟も妹も部活やら習い事やらで長く家を空けられない。「あんただけ早めに行って家の片付けでも手伝ってきてよ。みんなは後から行くから。お盆前に合流ね」という母の言葉に従って、慣れない新幹線と特急とローカル線を乗り継いだ。前に来たのは確か小学校の高学年だったはずで、小さい子を三人持つ地元出身の両親は長距離運転が平気な為、今まではずっと家族揃って車で帰省していたから電車で来るのは初めてだった。

「こんなに遠かったのか…」

 距離ももちろんだがなにせ乗り継ぎが悪い。田舎ならではの交通事情に辟易しながら最寄りの無人駅に到着すると、驚くことにICカードに対応していた。

 数人の乗客と共に駅舎を出る。出迎えてくれたのは田舎の夏特有の土と緑と太陽の匂い、それと懐かしい顔。

「おつかれさん、よう来たなあ」

「あにー、久しぶりー! うちのことわかる?」

 軽トラックの運転席には皺の増えた祖父が笑っている。後ろの荷台にいるのは従姉妹だ。祖父母と同居している叔父夫婦の一人娘である彼女は、確か妹と同じ歳だったはず。都市部に比べ一人っ子率の低い田舎で小さい頃は寂しい思いをすることも多かったらしく、子供の頃は長期休暇の度に帰省する我が家の来訪を心待ちにしてくれていた。弟妹の真似をして俺のことを兄と呼び、くっついて回っていた頃が懐かしい。

「わかるよ。久しぶり。もう中学生だろ?」

「そうやでー。あ、それお土産? 食べたい食べたい」

「まずはお供えしてから」

「ちぇー」

 孫たちのやりとりを見守る祖父の助手席に乗り、祖母の待つ家に向かう。ずっと変わらないと思っていた田舎なのに、国道沿いには新しい店ができていたりして時の流れを感じざるを得ない。

「コンビニな、こっちに移ってきてん。便利になったんやで」

 荷台から大声で解説してくれる声はすっかり大人びているが、俺のことを「あに」と呼ぶのは変わらないんだなとぼんやり思いながら数年ぶりの田舎の風を楽しんだ。

 祖母と叔父夫婦の待つ家に到着し、古くて大きな風呂に入り、大勢でご馳走を並べた夕飯を食べると、慣れない電車旅で疲れた俺の瞼は早くも下がってきた。用意された部屋で布団に潜り込むと、開けた窓から入る涼しい田舎の夜風に懐かしい蚊取り線香の香りが混ざってすぐに寝入ってしまった。


 誰も起こしてくれなかったせいか、目が覚めたのはもう朝というには遅すぎる時間だった。台所にあったパンを勝手に食べて外に出てみると、従姉妹だけが庭で犬と遊んでいる。

「おはよ。一人か?」

「あーやっと起きてきた」

「昨日は大変だったんだって。何時間かかって来たと思ってるんだよ」

「お父さんとお母さんは仕事行った。おじいちゃんは畑。おばあちゃんは買い物行ったけどもうすぐ帰ってくるんちゃうかな」

 従姉妹と戯れていた白い犬がじっとこちらを見ている。昔は大きく感じたが今はそうでもない。

「うーす。久しぶりだな。元気だったか」

 近づいてしゃがみこみ声をかける。手を出しても嫌がらないのを確認して頭をがしがし撫でてやると目を細めた。祖父の飼っているこいつはこの地域に昔から伝わる日本犬の一種で、昔は狩猟にも使われていたらしい。とはいえ俺が子供の頃からいるだけあってもうそこそこ年を取っていて、昔のような溌剌さが感じられないのは少し寂しい。

 俺の行動を見ていた従姉妹が感心したように呟いた。

「あに、すごいやん」

「なにが?」

「この子、家族以外には絶対に触らせてくれへんねんで。いきなり頭撫でるなんか普通無理や」

「そうなのか」

「昔遊んだん覚えてたんかなあ」

「でも年に二回くらいしか来てなかったぞ」

「お前は賢いもんなー」

 俺の返事を無視してよしよしと犬を撫でる従姉妹。そこへタイミングよく祖母が帰ってきた。

「おかえりー」

「ただいま」

 車から降りた祖母が俺に気づく。

「おはよう。昨日はよう眠れたか」

「うん。やっぱこっちは涼しいな。クーラーなしで快適だった」

「そらよかった」

「台所のパン勝手に食べたよ」

「かまへんかまへん。…ああそうやちょうどええわ」

 車から荷物を下ろしながら祖母が俺たち二人に向かって言う。

「あんたらちょっと山行って、葉っぱとってきてくれへんか」

「葉っぱ?」

「あ、もしかしてお寿司?」

 買ってきた荷物を勝手に検分していた従姉妹が目ざとく魚のパックを見つけて応えた。

「ええ鯖があったから」

「やったー! あに、行こっ。はよ取ってきたら今日中に作れるわ」

「無理無理、まだ鯖の用意してないんやで」

 苦笑する祖母と盛り上がっている従姉妹の会話を聞いて思い出した。この地域では祭りや人が集まる時には酢〆の鯖を使った寿司を作る。

「葉っぱ採ったらそのままおじいさんの畑まで上がって、野菜持って一緒に降りといで。昼ご飯作っとくからな」

 そういうことならと早速山に行く用意をする。山と言ってもすぐ近くだし、祖父が畑をしている場所でもあるので、しっかりしたジーンズとスニーカーを履き虫除けスプレーを撒くくらいだ。場所は従姉妹が知っているというので、ビニール袋とスマホをポケットに突っ込んで軽い気持ちで家を出た。


 山の入り口から畑のあるエリアへ行くまでの道は、草が払われ踏み固められて歩きやすくなっている。山に畑があるのは祖父だけではないので、行き来が頻繁に行われている証拠だ。

「あったー」

 これこれ、と従姉妹が採った葉を見せてくれるが、他の葉と見分けがつかない。変なものを採っても困るので、俺はもっぱらスマホで写真を撮ることに専念した。山の光景、道端に咲く花、木で囀る鳥などなど。あとで友達に送ってやろう。次なる被写体を探していると、足元にこつんと衝撃があった。

「なんだ?」

 真球に近い丸い石だ。明らかに人工物である。一部分取れてはいるがかなり苔むしており、作られてから随分と長い年月が経っているようにみえる。

「なあ、これ」

「なんやろ。見たことないなあ…」

 ぐるりを見回すその視点が一点で止まった。

「もしかして、あれ?」

 道から外れた少し先に、石を積んである小さなモニュメントが見えた。幾つか並んでいるそれの一番高いものだけ、天辺の丸い石が無くなっている。

「………」

 ああいうものに不用意に近づくのはあまり良くないのではないか。最近やったホラーゲームでの経験が警告を鳴らすが、従姉妹はそんなことを気にする様子もなく草をかき分けて向かっていく。

「あにー! やっぱりここのやつみたい。それ持ってきてー」

 言われるままに持っては行くが、どうも気が進まない。

「なあ、こういうのってあんまり触らないほうがいいんじゃないか」

「えーなんで? 外れてるのを戻してあげるだけやん」

「でもこれ、何かわからないし…」

「へーきへーき。大丈夫やって」

 俺の手からさっと石を取った従姉妹は元あったであろう場所に石を載せた。

「これでよし。さ、行こ」

 満足げに立ち上がった従姉妹が石積みに背を向ける。俺もあとに続こうと足を踏み出した時、従姉妹が振り返った。

「なんて?」

「え?」

「今なんか言ったやん」

「俺なにも言ってないけど」

「? 声聞こえたで?」

 首を傾げる従姉妹の顔が強張った。

「…や、え、うそ」

「どうした?」

「嫌、いやや、こんといて」

 ぶるぶると首を振り、後ずさる。

「あかん、あに、走って!」

「え? なに?」

「はやく!!」

 強く腕を引っ張られ、無理やり走らされる。

「一体なんなんだよ!」

 強めに聞いて腕を振りほどくと、真っ青な顔をした従姉妹が一瞬だけこちらを振り返り、苦いものを吐き出すように言った。足は止めない。

「さっきのとこから、なんか出てきた。追いかけてきてる」

「は?」

 何を言ってるかよくわからず確認しようと走りながら振り返ってみるが、俺の後ろには何もいない。

「何もないぞ」

「えっ」

 もしや振り切れたのかと期待をこめて振り向いた従姉妹が慌てて目をそらす。

「まだおるやん! …もしかして、あに、見えてないん?」

「かもしれない」

「ええーーーっ」

「追いかけてきてるのって、早い?」

「めっちゃ早い。ていうか木とか、石とかみんなすり抜けてるから、直線で追いかけてきてる。すぐ追いつかれそうで怖い」

 そういうことならいつまでも喋ってはいられない。夢中で足を動かす。来た道に戻り踏み固められた道を上がっているから、そのうち祖父の待つ畑に着く…はずだった。

 いつのまにか道は草に覆われ、両脇に背の高い植物が増えてくる。杉くらいしか名前のわかるものはないが、たくさん葉をつけた木々の梢が空を塞ぐので快晴の昼にも関わらず明るくはない。

 前を行く従姉妹が走りながら耳を塞いだ。

「大丈夫か?」

「なんか、なんか言ってる。怖い。叫んでんのが聞こえる」

 どうにかしてやりたくとも俺には見えないし聞こえない、せめて道を確認しようとスマホを取り出したが圏外だった。

「ちっ」

 こういう時文明の利器が役に立たないのはお約束でもある。

「おーい! 誰か、誰かいませんかー!」

 大声で呼んでみる。山とはいえ普段から地元民が出入りしているところだ、畑仕事をしている人が気づいてくれるかもしれない。

 集中が切れた俺の足はいつのまにか遅れていた。先を行く従姉妹がこっちを振り返り必死の形相で叫ぶ。

「あにっ! なにしてんのはやく! もう、すぐ後ろに来てるっ!!」

 その声に動かす足を早める。慌てすぎたのか木の根にひっかかり、つんのめりそうになる。

「うわっ!」

「危ない!」

 間一髪で伸ばされた従姉妹の手に助けられ、かろうじて態勢を戻す。

 改めて二人並んで走り出した。



 いつまでたっても開けた場所が見えてこない。同じところを走っているような気さえする。道がいつもと違う気がすると呟いた彼女は、思い切って道のない方へと進路を転換した。

「こっち、道ないけど、大丈夫?」

「だって、道走ってても、どこにも着かへんねんもん」

 青ざめた顔に不安そうな声。彼女もパニック寸前なのが見てとれる。かと言って俺も決して冷静ではない。どうしよう、どうしようと思考だけがぐるぐると頭の中を回る。

「あっ」

 焦りと疲れ、それに慣れない山道で足が滑った。

「あに、あに、背中にて、手がっ」

 彼女の言うとおり、ひんやりと冷たいものが背中に触れた瞬間だった。

「ガウッ!」

 草むらから突然獣の声がしたと思うと、白い塊が俺たちの背後に飛び込んだ。

「シロ!?」

 従姉妹が叫ぶ。俺の背中から寒気が遠のいた。振り向くと、祖父の犬シロが鼻に皺を寄せ牙をむき出し、体を低くして一箇所に向かって吠え続けている。その体が一瞬沈んだとみるや、弾丸のような勢いで見えない何かに飛びかかった。

「あっ!」

 従姉妹が息を飲む。俺には見えないが、シロの動きから何かにのしかかり歯を立てようとしているのが伝わってくる。が、透明ななにかは鋭い牙をもすり抜けるようで、がちんがちんと噛み合わせが空を切る音が数度。そして。

「………消えた…」

従姉妹が一言呟いた。


「うわーーーー!! ありがとう、ありがとうシロー!!」

 落ち着きを取り戻したシロにすがりつく従姉妹。結局よくわからないままの俺の耳に祖父の声が届く。

「シロー! おーい」

「こっちー、ここにいるよ!」

 ガサガサと草むらをかき分けて現れた祖父は、シロと俺たちが一緒にいるところを見て心底安堵したようだ。

「いやーよかった。心配したんやで。連絡もらって待っとっても全然上がってこんから、一回家に戻ったんや。そしたらとうの昔に家は出たっていうし、シロはなんかそわそわしとるし」

「おじいちゃんーーー!! 怖かったーー!!」

 祖父の姿を見つけた従姉妹は抱きついて泣きじゃくりはじめた。我慢していたものが一気に溢れ出したのだろう。よしよしと背中を撫でる祖父の横で、俺とシロはじっと座っていた。

 気づけば気温が随分下がっていた。山に上がったのは昼前のはずなのに、もう夕暮れが迫っている。夕方を告げる町内放送の音楽も聞こえなかった。

「そろそろ行こか」

 祖父の声に揃って移動を始める。

「おじいちゃん、場所わかるん?」

「すぐそこが畑やで。ほら」

 祖父のあとに続いて歩いていくと、ほんの数分で開けた畑に出た。数年前と変わらない景色。祖父の畑だ。

「おっかしいなあ…。いつも通りのとこ、登ってきたはずやのに」

「ほんで、結局どないしたんや。シロがえらい吠えとったな」

「それがな、落ちとった石を直したら、幽霊みたいなんに追いかけられて」

「俺には何も見えなかったんだ」

「うちには見えてん。あれは女の人の幽霊やった。髪が長くて血まみれの…」

 よく手入れされた山道を下りながらことの経緯を代わる代わる祖父に話す。最初は半信半疑で聞いていたその顔が、徐々に難しい表情になっていく。

「あっここや、ここの先。ほら見えるやろ?」

 踏み固められた山道を数分歩くと、よく見ないとわからないほどの分かれ道の先に、登る時に見つけた石積みが見えた。

「ああ…。あっこか…」

 納得したという感じで祖父はシロを伴って問題の場所に向かう。しばらく眺めてから俺たちに手招きした。従姉妹は嫌がったが、おじいちゃんもシロもおるから大丈夫、との言葉に渋々ながら従う。

 先ほど直したので一見なんの異常もない風に見える小さな石積。俺たちが来たのを確認してからその前にしゃがむと、祖父は頭を下げた。

「家族がお騒がせしました。これはうちの孫たちです。悪いことはなんもせんので、どうぞよろしゅうお願いしときます」

 目配せされるままに俺たちも祖父に並び、同じように頭を下げた。シロは後ろでちんと澄まし顔でおすわりをしていた。


 その夜、庭で花火をしようと祖父に誘われ、俺と従姉妹は庭にでた。都会とは比べものにならない数の星が夜空に瞬いているが、正直昼間の出来事であまり花火という気分ではない。彼女も同じらしく、普段のようにはしゃいではいなかった。

 火をつけたろうそくに花火の先を当て、ばちばちと弾け出したものを俺たちに渡しながら祖父が口を開く。

「今日の、あっこには古い言い伝えがあってな」

 俺と従姉妹は顔を見合わせる。

「昔むかし…」


 祖父の話によると平安より前くらいの時代、都から追放されてこのあたりに流れ着いた貴族の男がいた。彼は村の娘と恋仲になり結婚し、二人は身分の差を乗り越え幸せに暮らしていた。ところがある時、許しがでたから都に戻っていいという連絡がきた。男は大喜びで帰る気になり、娘は自分も連れて行ってほしいという。しかしこんな田舎の娘を連れて帰ればどんな噂になるかわからない。独身であれば有力貴族の娘と結婚しまた成り上がれる可能性もあるが、田舎娘と既婚であると知られると、縁談すらこないだろう。邪魔になった男は娘を手にかけ、死体を山に埋め素知らぬ顔で都に戻っていった。娘を不憫に思った村人たちは彼女を手厚く葬ってやった。その塚があの場所なのだという。


「そんなん全然知らんかった」

 ここで生まれ育ったのに、という感情を込めて従姉妹が言う。

「口伝えでしか残っとらんからな。若いと知らん子も多い。知らんまま町を出ることもあるしな。寺や町の役が交代であそこの供養や管理をしとるんや」

「そうなのか…」

 花火はもう消えていた。バケツの水に先端をつけるとじゅっと音がする。新しいものに火をつけて従姉妹に渡し、自分用にもう一本を火にかざした。

「しかし今までなんやら起きたっちゅう話は、聞いたことないけどな」

 祖父はどこからか缶ビールを取り出し音を立てて開けた。一口飲んだ時シロがこっちを見ているのに気づき、連れてきて自分の横に座らせる。

「これはわしの推測やけど…。都会から来たお前が男と重なったんちゃうかな」

 がしがしと乱暴にシロの頭を撫でながら祖父が続けた。

「え? 俺?」

「貴族の男がお前に、自分の姿がこの子に重なってしもた…とかな」

「うちが!?」

 従姉妹が目を丸くする。

「積み石が崩れて塞いどったんが緩んだとこに、お前ら二人がきた。一人はここの娘で、男のほうは都会から来とる。自分は都の男にひどい目に合わされたのに、目の前の二人は仲ようしとる。それが悔しかったんちゃうか」

「…そういえば、何言ってるかはようわからんかったけど、あにーを狙って追いかけてるみたいな感じはしたわ」

「えっマジかよ」

「うん。でもさ、そんなん、それって逆恨みやん」

「そうならんように祀っとったんやけどなあ」

 祖父はビールを飲み干すと、庭の隅へ放り投げた。シロが顔を上げて反応したので取りに行くのかと思いきや、あくびを一つして伏せてしまった。

「今度の集まりで今日のこと言うとくわ。色々やり直したほうがええかもしれん」

「ん」

「お前らもしばらく山には行かんとけ。明日は念の為お寺さん連れてくわ」

「はーい」

「わかった」

 話をしている間にも花火は点いては消え点いては消え、とうとう全部使い切ってしまった。バケツに入っていることを確認して家に戻る前に、小屋に戻ったシロに声をかける。

「今日は大活躍だったな、ありがと」 

 部屋に戻って電気を消す。なかなか寝付けない。スマホを手にとりSNSや動画などを見ているうちにふと思い出し、画像ホルダーを立ち上げる。

 今日山で撮った写真を全部まとめて消去した。そのまま枕元に放り投げ、布団をかぶった。

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山にいるもの 望月遥 @moti-haruka

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