第50話 終局 弐
それが、これ。
「19時3分、被疑者確保!!」
ドラマとかでも見たことある人はいるだろう。
現行犯逮捕である。
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第213条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
引用:刑事訴訟法第213条
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2人の警察官に両脇を固められながら、小屋の外へと出された。
「…………!」
多くのパトカーが道路に列をなして赤色の光を点滅させている。
それと同時に拘束されているゴロツキ&阿久津。
警官の数もかなり多い。
……なるほど。
太一はかなり大袈裟に通報をしたようだ。
恐らく、不良グループが暴れている、とか、まぁ、そんな所だろう。
加えて住宅街だし、近隣住民の皆さんが後押しをしたのかもしれない。
主婦らしき野次馬の数もチラホラと見える。
「歩くんだ」
「…………」
ふと。
何気なく、後ろを見てみる。
別に何か意味がある訳じゃない。
ただの気まぐれだ。
視界に入ったのは小屋の中。
つまりは、先程まで俺がいた場所。
ーーーーーーーー塚原陽菜が見えた。
警官に必死に哀願でもしているのだろう。
自分がいかに酷いことをされたか。
俺という人間がいかに残酷なことをしたか。
まぁ……。
そんな所かな。
本当に……、救えない。
***
後日談。
実況見分、その他関係者からの聞き込み。
雅の動画やその他諸々もあり、俺は正当防衛が認められ、数日後には釈放となった。
田中蒼汰。
12月25日逮捕。
逮捕監禁罪。
覚醒剤所持。
傷害致死。
その他、余罪。
逮捕時には成人年齢に達していたため、起訴も確定。
本人の供述により、山林から身元不明の遺体も見つかった。
ーーーーーーもう何も言うまい。
塚原陽菜。
基本的には蒼汰と同じ罪に問われているが、未成年扱い。しかし事件の捜査中に成人年齢に達した場合、成人同様に手続きが進められる。
あと数ヶ月だろう。
塚原敦。
陽菜と蒼汰の一件発覚から数ヶ月後、塚原敦の初公判が行われた。
俺も傍聴するために参加したが、証人尋問で俺は久しぶりに塚原陽菜の姿を見た。
学校での姿は見る影もなく、実の父親が裁かれていく様を虚ろな目で見ていたーーーーーー。
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