第3話 クラスで浮いております。

クスクス...。


「学校に何で来たんだろうね」


「私だったらマジで無理っ! 家から出れないよ〜」


 ヒソヒソ。


「マジであのLINEはないよな笑笑笑」


「俺LINEの一言にしようかな笑」


「ばっか、それじゃ2代目佐々木君になるだろ!笑」




 視線が痛い。

 そして、周囲から聞こえてくるのは、あからさまな俺のLINEの話題だ。

 んだよ、コイツら。

 頼むからもう喋んなよ。

 俺だって1人の人間だろうが。

 基本的人権の尊重をしろ、馬鹿どもが。



「あっ、おはよ!!陽菜ちゃん!!」


 クラスの1人の女(多分バカ)が叫んだ。

 こっちチラチラ見んな。

 聞こえてるっつーの。


「あっ、愛美ちゃん。おはよう」


 .....来た。

 すべての元凶であり、俺の元カノ。

 塚原陽菜。

 ……今日も清楚感マックスだなぁ。

 学園のマドンナとはよく言うが、清楚という言葉を実際に具現化したらこんな感じなのではないかと思う。

 サラサラの黒髪ストレート。ほんの少しだけ着崩したブレザー。

 そして何よりも万人受けするような顔だよ、顔!!

 そこら辺の地下アイドルだったら裸足で逃げ出すレベルの顔の造形。

 悔しいが……可愛い。


「陽菜ぁ、昨日ありがとね。楽しかったよ~」


「なんてことないよ。また行こうね」



 一昨日あんなことなんて最初からなかったかのように、クラスに普通に溶け込んでいる。

 というか、俺、あの娘と本当に付き合ってたんだなぁ。

 にわかには信じがたい。

 というか、付き合った日々も嘘だったんじゃないかと思い始めてきたぞ……。


「うわ、こっちめっちゃ見てるよ! キモっ!!!」


「……行きましょ」


 陽菜の取り巻きが俺の視線に気づいた。

 と同時に、教室の外に出ていく。

 ……明確な拒絶だな。



 さて。

 俺と彼女は確かに一週間前に別れた。

 それは確実。

 一方的に振られて俺が振られて、俺たちの関係は終わりを迎えた。

 めちゃくちゃ泣いたのは記憶に新しい。



 その時も思ったが……、もしかして俺が何かやらかしたのか?

 彼女の気に障ることを、付き合っているときに無意識にでもやってしまったのか?


「う~ん………」


 晒されたLINEは確かに自分で見てもキモかったような気はするが………。



 …………やっぱLINE?



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