第2話 学校を休みました。

「災難だったね〜」


「ったく.....。笑い事じゃねぇっつーの」


 ここは俺の部屋。

 目の前にいる男は吉岡太一よしおかたいち。

 今は11月23日。午後5時36分。

 昨日のLINE晒しから一日が経過。

 以上、状況説明終了!!


「うちのクラスでも話題になってたよ? 何かクソ面白いLINEを晒された奴がいるってさ笑笑笑」


「貴様、笑うな! 俺は酷く傷ついたんだぞ!!!」


「いや〜、ごめんごめん笑 ホントにそんなことあるんだなって思ってさ」


 太一は目尻の涙を拭いながら、込み上げてくる笑いを噛み殺している。

 この男とは小学生の頃からの付き合いだ。

 いわゆる腐れ縁。

 縁が腐るとはよく言ったものだ。

 お互いの不幸を笑える位の関係にはなっている。



「今日は何で休んだのさ」


「いやいや、昨日の今日で学校行けないでしょ.....。俺のメンタルに受けたダメージを考えなさいよ」


「にしては.....元気そうだけど」


「.....まぁ、だいぶ落ち着いたね。昨日はホントに酷かった。寝れなかったからね?泣きすぎて」


「ブフンっ!!」


 吹くな。

 コイツは本当に最低だな。



「クラス連中に笑われたこともそうだけど、何よりしんどかったのは陽菜に.....」


「裏切られたこと?? まぁ、裏切られたって言うか、ネタにされたって言うか」


「.....今後、他人を信頼することが出来なくなりそうだ」


 そう。

 何よりも1番しんどかったのは、陽菜の行動だ。

 俺のLINEを晒すなんて、彼女にとってメリットがない。

 まぁ、強いて言うなら.....、面白い。

 彼女にデレデレになっているクソみたいな駄文を、皆で笑いたかった、と言うなら俺も納得できる。

 というか、絶対にそうだろ。


「皆で俺を笑いものにしたかった、ってことだ。それ以外考えられない」


「俺もそう思うよ。まぁ、お前のクラス自体、そんなにいい噂は聞かんから、ある意味納得だね」


「.....まぁ、元々気持ちのいい奴らとは思ってなかったけどな」


 俺は2年A組。太一は2年F組。

 階の端と端であるはずなのに、どうやら俺のクラスの雰囲気がは伝わっているようだ。


「.....で、どうするのさ?」


「え?」


「今回も、色々と考えているんだろ??」


「.....そりゃ、まぁね。やられっぱなしってのも性にあわないし」


 まさか高校に入ってまで、復讐紛いのことをするなんてなぁ.....。


「俺も手伝うよ。面白そうだし」


「ニヤニヤするな。顔に面白そうだ、って書いてるぞ」


「フヒ」


 まぁ、今日一日休んで色々と考えていた。

 まずやることは情報を集めること。

 クラスの雰囲気。

 俺と陽菜のこと。

 過去とか、性格とか。

 陽菜とは少し付き合ったけど、まだ俺の知らない顔があるのかもしれない。



「太一」


「はーい」


「とりあえず、明日学校に行くわ」


「.....俺も色々と調べてみるよ。期待しとけ」




 .......さてと。



 嫌だなぁ.....。

 学校行きたくない.........。

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