Episode:4 南国のおうちにて(右耳おそうじ)①



//正座をしたイサナが、自分の太ももをぺちぺちと叩く音


「ほら、こっちにおいで」//以下、優しく


「あたしのお膝の上に、大人しくごろんしな」


「別に恥ずかしがらなくたっていーじゃん」


「誰が見てるわけでもないんだしさ」


「……よし。よくできました」


「無駄な抵抗をしなくてえらいえらい」


「じゃあ右耳から耳かきを始めていくよ」


「……っていっても、ちゃんとしたやり方知ってるわけじゃないから、適当にやるけどね」


//以下、セリフにたっぷりと時間をとってください


「まずはえーっと、この白っこいふわふわのとこ、使っていくよ……」


「………っ」//悩ましげな声で


//梵天で耳を掃除する音


「できるだけ、優しく……」


「ゆっくり……そーっと……遠くから……」


「………どう。気持ちいい?」


「少し、こそばゆい?」


「ふふっ……わかった……」


「でも、もう少しだけ我慢しな……?」


「あんたのこと隅から綺麗にしてるんだからさ……」


//梵天で耳を掃除する音が大きくなり


「……うん。こんなもんかな」


「じゃあ仕上げに」


「ふーっ……」//優しく長く吐息


「はい、右耳の入口はオッケー」


「……っとまだ動かないでよ」


「今度は梵天じゃない、本体の方を使って中をやっていくんだからさ」


「てかあんたさあ、まだ緊張してるの?」


「ふふっ、それくらい分かるって」


//衣擦れの音(イサナが、主人公の右肩から指先をゆっくりと撫でる)

//手を重ねる音(イサナが、主人公の手の甲に自分の掌を重ねてぎゅっとする)


「他人の体温って安心しない?」


「あたしだけかもしれないけど……」


「ふふっ、あんたも?」


「じゃあよかった……」


「あんたの手って、大きくてあったかいね……」


「このまま……指先をぎゅーってした状態で、やってもいい?」


「うん……ありがとう。じゃあこの体勢で右耳の掃除をしていくね」


//ヘラで耳を掃除する音


「ゆっくり……ゆっくり……」


「痛かったら言いなよ……」


「ふふっ、目をつむって強がってるあんたってかわいいね」


「なんだかいじわるしたくなっちゃう……」


//ヘラで耳を掃除する音が大きくなり


「……あれ? どうしてあたしの手を強く握り返したの?」


「くすぐったさに堪え切れなかった?」


「あんたって本当にかわいい……」//やや低い声で


「ふーっ……」//優しく長く吐息


「ふふっ……はい、右耳のお手入れ終わり」


「どーしたの、その顔?」


「期待と落胆と屈辱の混じった感じ」


「……なんかドラマ観てる時よりもドキドキするわ」


//右の耳元で


「でも、お楽しみはこれからだよ?」


「これくらいで満足されちゃ、困るんだから♪」



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