第7話 岩壁洞窟
「よし!今日は新しいとこ行ってみるか!」
俺達が『ブレイブ・リンク・オンライン』を始めてから一日が経過した。今日は日曜日だ。
現在の時刻は朝の4時。昨夜の11時に一旦解散して、再び合流した感じだ。ちなみに昼ご飯、夜ご飯はケルトとゲームの中で食べた。ゲームの中でご飯を食べたら、現実世界でもお腹は満たされるみたいだ。
流石に満たされるだけで、栄養は全く足りていないので家にあったカップラーメンを頬張った。カップラーメンは便利だ。お湯を入れるだけだからな。うまいし。
家には誰もいなかった。今日は兄さんのサッカーの試合があるからだろう。俺が家にいるにも関わらず、両親どっちも俺に何も言わず家を空けるとは・・・・・まあこんな扱いは珍しくもない。そんなに気にすることもなかった。
そんな感じで今日は新しいマップである『岩壁洞窟』に挑戦する事にした。
岩壁洞窟は岩壁山脈を突き抜けている大洞窟であり、これを超えると新しい町に到着することができる。いわば、最後の関門のようなマップだ。
このゲームでは町から町に移動する際に必ず通ることになるマップの最深部に、ボスを設置しているという。誰かがボスを討伐すれば、他のプレイヤーも通れるようになるシステムである。
他のプレイヤーにボス討伐を任せるのもありだったが、俺達が目指すのは最強。こんなところで他のプレイヤー任せにすることは出来ない。
「それじゃあ行くか!」
岩壁洞窟は、ルグラ沼地を突きった場所にある。すなわち、ルグラ沼地を抜けられるようなプレイヤーでなければ、次の町には進めない。
なかなか厳しいシステムかもしれないが、RPGだとこんなものなので誰も文句は言わないだろう。
俺は先程、新しい武器を購入した。『みならい魔法使いの杖』だ。蛙に食べられたせいで武器がなくなっていたのだ。ちなみに『魔法使いの杖』は買えなかった。高かったのだ。
ケルトは防具を購入していた。全身が茶色になっている。皮の装備らしい。防御力はあまり期待できないが、何よりも安かったのだ。飯代でかなりの金を使ってしまったので仕方がない。本当に計画性のないパーティーである。
「着いたな」
「ああ」
俺達は目の前にそびえる大きな岩の壁に感嘆していた。岩には大きな空洞があり、中は真っ暗。俺達を吞み込もうと必死になって口を開けているかのようだ。
「メニューオープン」
俺はメニュー画面から『マップ詳細』をタップした。
ーーーーー
【岩壁洞窟】
・出現モンスター
・マップ表示
・詳細
ーーーーー
俺は三つの項目から『マップ表示』を選択。視界右上に出てきたマップを極限まで小さくした。大きいと戦闘の邪魔になるが、表示していないとマップを見るためにいちいちメニュー画面から選択しなければならない。それは大変面倒だ。
次に『出現モンスター』の項目をタップ。一覧が出てきた。
ーーーーー
・
・
・ゴブリン
・スケルトン
・オーガ
ーーーーー
強さは上から順番になっている。一番上が弱くて、下が強いのだ。
『
『
『ゴブリン』は相変わらずだ。しかし、ここに出てくるゴブリンは木の棍棒ではなく、短剣を使ってくる。かわりに弓持ちがいなくなるのでトントンかな?いや、死角が多い洞窟は短剣持ちの方が厄介だ。注意しなければならない。
『スケルトン』は、初心者殺しとも言われるモンスターだ。理由は、粉々にしないと復活してしまうからだ。しかし、ケルトの武器はハンマー。粉々にするのは容易い。それに俺の魔法も通用する。特に炎と光はよく効くらしい。よって何も問題はない。下手したらゴブリン以下だ。
『オーガ』だけは少し厄介だ。知能は低いが力が強い。それに図体がでかいので、中々攻撃が通らないのだ。一対一なら『スライムロード』をも上回るだろう。しかし、俺には魔法がある。それに『魂喰らい《ソウルイート》』もある。アンデット系のスケルトンには通用しないが、オーガになら効く。ワンパンだワンパン。
「なーんかあんまり強そうじゃねえな」
共有化をかけて出現モンスターを一緒に確認しているケルトから、若干不満そうな顔をされた。
しかし、何に対しても油断は禁物。俺は釘を刺すことにした。
「油断は禁物だよ。一体一体は問題ないけど複数の戦闘になったら厄介だしね。それに洞窟は足場がよく見えないし、死角も多いから、不意打ちで重症なんてこともありえると思うよ」
「まーそうか!それじゃあ油断しないようにとっとと行こうぜ!」
軽~く、ほんとうに軽く返された。心配だ。何もなければよいのだが・・・・・
「『圧殺潰し《ギガントプレス》』!」「『
先程、スケルトン10体との戦闘に入ったが傷一つ付けられずあっさりと勝利してしまった。
ここまでにも短剣ゴブリン4体の群れ、
「流石に弱すぎるなあ。でもレベルは順調に上がってんだよ。ここが美味しい狩場なのかもな」
「だね。まあでも流石に運もあるよね・・・初心者殺しのスケルトンがただの経験値が美味しい雑魚に成り下がってるんだからさ」
そうなのだ。魔法やハンマー系のスキル持ちがいないと、スケルトンは強敵だ。しかし、俺達にはどっちも揃っている。ある意味でチートなのかもな。
俺達が薄暗い一本道を歩いていると、目の前に大きな壁が見えてきた。おそらくあれがボス部屋なのだろう。
「あれがボス部屋か~。楽しみだな!ん?あそこに誰かいないか?」
そう言ってケルトは正面を指さした。魔物だろうか?それにしては不可解すぎる。なぜボス部屋の扉の前に佇んでいるのか?
少し近づくと姿がうっすらと見えてきた。全身を鉄の鎧で包み、大剣を地面に押し当ててこちらをまっすぐと見つめている。
「ん?もう誰か来たな。しかし、俺とほぼ同じペースか。中々の手練れやもしれん。もしかしたらこの先もあるいは・・・・・」
「あの・・・どうかしました?」
俺は全身鎧のプレイヤー?に恐る恐る話かけた。するとすまないと謝ってきて、こちらに話しかけてきた。
「俺のプレイヤーネームはボレアスだ。よければ俺と『
そう言ってボレアスは俺達に『
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