　高校生の縹宝（ハナダタカラ）は、地下鉄銀座線の料金表を眺め、１人唸っていた。

　下界－人間が住む世界を、仙界ではそう呼んでいる－に来てまだ１年足らず。

　正直言って、何処に有名なものがあるのかさっぱり分からない。

　しかし、同じく高校に進学した友人の小張奈義（コハルナギ）を喜ばせたい。

　昨年１２月からそればかり考えていて、いい加減どうにかしたかった。

　それ故、人の視線など何のその、兎に角彼女が気に入るような場所を必死に探す宝。

　やがて、彼の瞳に映った駅名。

　それは、銀座線の終点である“浅草駅”だった。

「と、取り敢えず手始めにそこにでも行くとするか……」

　宝はそう呟いて、現地を視察する為に足を向ける。

　普段、東京に来られない奈義（ナギ）が楽しめるようにと願いながら、彼は改札口を通り抜けた。

令和３(２０２１)年１１月１５日１２：１３～１２：２９作成

Mのお題

令和３(２０２１)年１１月１５日

「東京の地下鉄から始まる物語」

※地下鉄銀座線を使用

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