朝顔①

清原「あの光源氏が、おとせなかった人っているの?」


藤原「槿あさがおきみ


和泉「凛々りりしいお方ですよね」


藤原「十五年以上も源氏の心をつかんだままの人っていうのもすごいし。何度口説くどかれても、ひらりとそれをかわし続ける。その姿にれするわ」


 『「かけまくかしこけれどもそのかみの秋思はゆる木綿欅ゆふたすきかな」』

(『源氏物語』より)


『「そのかみやいかがはありし木綿欅ゆふたすき心にかけてしのぶらむゆゑ」』

(『源氏物語』より)


藤原「槿あさがおきみが、斎院となり、神様に使える身となってもなお、あなたのことが忘れられないって、歌を贈る源氏。しかも、契ってもいないのに、一緒に過ごした秋の夜を思い出します、なんて詠っているの」


清原「未練たらたらね(苦笑)」


藤原「それを、槿あさがおきみは、私とあなたの間には何があったとおっしゃるの? 二人きりで過ごした秋って一体何のことかしら? って」


清原「すごい。源氏をここまでぴしゃりと撥ね退けるなんて」


和泉「すごいですよね」


藤原「しかも、源氏ったら、この返事を受け取って、ますます槿あさがおきみのことを気に入っちゃうのよね。まあ、もともと源氏の初恋の人だから。源氏も忘れられないのでしょうけど」


清原「さすがの源氏も、初恋は実らなかったのね(苦笑)」

 

藤原「そして、諦めも悪いのよ(苦笑)」

 

槿あさがおきみの話は、まだまだ続く……




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