天才ゲーマーJK加藤すばる

ROUND4


元旦の家電量販店は、初売り目当ての買い物客達でごった返してる。中でも玩具・ゲームのフロアはお年玉で財布と夢を膨らませた小さな子供たちでいっぱい。まぁ、お年玉を握りしめて買い物に来たのは私も同じなんだけどね。

 私、加藤すばる17歳。花も恥じらう女子高生、趣味はビデオゲーム!何で花のJKがこんな小さな子供達と大きなお友達でひしめく場所にいるかって?私の目的はこのゲームソフト『ギャラクシアン・バーリトゥード3』を買うこと!

 私とギャラバリの出会いは10年も前に遡る……転校したばかりの学校に馴染めず独りぼっちだった私と仲良くなった、4つ年上のお兄さんと一緒に遊んだのがメガドライブ版ギャラバリ2。そして私の持ちキャラになったのが、この“3”のパッケージにもいる巨漢プロレスラー、ビッグバン・ボイジャー!

 今の私があるのは、あのお兄さんとボイジャーのお陰。思えば、私の初恋は三次元があのお兄さんで二次元はボイジャーだったのかも?

 ゲームソフトを買った私は、ウキウキ気分で駅へと向かう。早く帰ってこのギャラバリ3を家で遊びたい!もうゲームセンターに通ってアーケード版を遊ばなくても好きな時に好きなだけ、大好きなギャラバリ3が出来るんだもの!

 私は浮かれすぎていた。歩行者信号が青に変わった瞬間、まるで子供のように走り出していた。そのせいで、身に迫る脅威に気付かなかった……赤信号を無視して突っ込んでくる車の存在に。


「あぶねえ!!」


 その一言とともに、私の背中を押す一撃。その衝撃で突き飛ばされた私は横断歩道の反対側まで転がった。アスファルトにぶつけた膝の痛みに耐えながら振り返ると、そこには中央分離帯に衝突した乗用車……そして、金髪の男の人が血を流しながら、うつ伏せで倒れてる……

 この人は私を突き飛ばして、代わりに車にはねられたんだ……

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