第十五話ー安堵ー

「じゃあ授業終わりまーす」

「「「「「「「「「あざしたー」」」」」」」」」

終わった途端、二人が由菜の場所へ駆けつけた。

「ごめんね…そばに居れなくて」

「ううん、別に大丈夫。ごめんね、心配させて」

明るい。自然な雰囲気を保っている。

「…え由菜どうした?」

「何があったの?」

心子が手を握ってくれる。由菜も握り返す。

「とりあえず演じようと思う。まあいつも通りにはいかないかもしれないけど」

「……そっか。俺は反対だけどな。」

「なんでそう思ったの?」

「心子が由菜を変えただろ?あのままでいいと思う。取り繕う必要ないと思うよ」

「…ま、そうかもね。由菜。無理しないでね」

「うん。三人しかいないところで話せるまでは耐える。その時に病みまくってたらごめんね。」

「…そうならないでよー。ね?海里」

「うん。俺も思った」

「ま、心配と迷惑かけないように頑張る。」

「…由菜。何かあったらいつでも言ってね?」

心子が手を握る。彼女の手はいつも暖かい。(あったかいな…)

「うん。ありがとうね」

そういうと手を離し、海里の手に触れた。暖かかった。確かに暖かったが、なんだか本物の暖かさじゃなかった。作り笑いのような感じで、人工的だった。

海里は本能的に読み取った。

(これはもしかしてSOS…?)


帰ってから由菜は誰にも聞こえないように呟いた。

「気づいてくれたらいいな…」

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