第一話ー紛失ー

朝、由菜は教室に友達と登校した。いつも明るく、話しやすい。相談にも乗ってくれて頭も良い。運動神経もよく、楽器も吹ける。おまけに美人で、まさに「完璧少女」と言われていた。タブレットのことにも強かったので、頼りにもされていた。

そんな彼女が朝の用意をしていると、異変に気づく。持って帰ったと思われるノートがないのだ。リュックの中に見当たらない。机の中を探したが、どこにも見つからなかった。(家?)しかし、リュックからは出していないという自信がある。

「やばい…ノートが消えた」

クラスメイトは由菜の異変に気付き、駆けつけてくれた。

「マジで⁉︎」

「一緒に探そ?」

「どんなノート?」

この言葉に由菜は救われた。(私を思ってくれる人がいるんだ。嬉しいな。)

クラスの過半数が彼女に協力した。しかし、ごく一部の人間は、隅の方で薄暗い笑みを浮かべていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る