12 悪役令嬢婚約破棄

「ローザ、貴様との婚約を破棄する。

 二度と私の前に姿を現すな。」


やったわ、トオル。

これで私は死亡フラグから回避できた。

もう泣きそう。


私は前世の記憶を持ってます。

前世では日本という国で女子高生してて、

彼氏と一緒に横断歩道を渡っていた時にだったんです。

トラックにはねられて、直後この世界で生を受けました。


驚くことに、この世界は乙女ゲームにそっくりなのです。

街並み、登場人物、性格までもがゲームそのまま。

そして、自分が生まれた家系を知り運命に怯えることとなったのです。


ヒロインを邪魔する悪役令嬢役だったから。


私はゲームをやり込んでたから知っている。

「死罪」「国外追放」「婚約者からの毒殺」の

いずれかの選択肢しか未来がないということ。


この舞踏会の場で、伯爵様から婚約破棄されたことで

全てのバッドエンドの呪縛から抜け出せたのです。


トオルからゲームをプレゼントしてもらわなかったら

私は2度も最悪な人生を送っていたことでしょう。

第二の人生、あなたの分まで幸せになります。


♪ギィィー、バタン。(扉が開いて閉まる)


会場を出て行く令嬢を見て、笑みを隠せないでいる人物がいる。

婚約破棄した伯爵自身だ。

彼もまた自分の運命を生まれた時から知っていた人物である。

どうしてもローザと一度婚約をして破棄させる必要があった。

でなければ令嬢を殺害し、何十年もの牢獄生活する未来が待っていたから。

そして今、未来が変わり、彼もまた呪縛から解き放たれたのである。

ミズキ、ありがとう。君のお陰だ。

ーーー 完 ーーー

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