第31話 着々とまとめに入ってるわよねぇ……。


 「『武将ファイブ』のオーディションに受かったら、俺達、結婚します!」


 突然の結婚報告に驚く俺達!


 天は沙樹に駆け寄り抱きついて、

 「沙樹さんっ、おめでとうございますっっ!!」


 麻里はホイッスルで、

 『ピーピピピー、ピーピピピー♪』

 ワーグナーの『婚礼の合唱』を吹いた。


 社長は、沙樹のグラスに自分のグラスをちょこんとつけて、

 「オーディションの結果は、……秋頃だよな? それで、仕事はどうするんだ?」


 「う〜ん、続けていきたいけど、もうちょっと考えさせて! バネ太のこれからが楽しみだしねー♪」


 沙樹が言うとヤキモチ焼きの蓮が、


 「バネ太は麻里ちゃんがやってくれるから俺でいーだろ、オイ?」


 俺をジロリと見ながら言った。


 そしてまたもや翔也が沙樹の逆鱗に触れる一言を言い、場が凍りついた。


 「でも、蓮さん、『オーディションに受かったら結婚』とかソレ、アニメで言うトコロの『死亡フラグ』ですよ! ギャハハ!」


 バチーン!!


 翔也の頭を引っ叩く音が鳴り響いて、更に持っていた箸で脇腹を刺した。


 「イテテテテっ、あねさん! だってマジフラグですよっ、ソレっ!」


 「アンタの言葉なんて『ダメダメフラグ』じゃないっ、バカっ!」


 あはははっ!



 あの感じじゃ、蓮で確定と言ったトコだよな……。 なんだ、要望が多かったから期待してたのになぁ、残念!

 


 ※※※



 そして秋になり、晴れて蓮の結婚が発表された。


 そして同時に『武将ファイブ』のメインキャストの五人とアニメパートの声優五人が発表された。


 尚、それ以外は公開されるまで内容は一切情報が出ないとの事だった。


 業界ナンバーワン声優の結婚という事で、テレビでも報道され、プイッターのトレンドも『蓮様 結婚』が一位になっていた。


 そして『武将ファイブ』関連のワードで上位が埋め尽くされた。


 と、言う事で俺は武将ファイブのオーディションに落選してしまった。


 まぁ『あの声』を取り戻した事を業界の方々が触れ回ってくれたので、来年度のアニメで主演の話が数件舞い込んで来てたから、あまり悔しさも無かったしね!……なんて、負け惜しみを言ってみたけど⤵︎


 だいたいオーディションなんて落ちて当たり前のトコあるから、しょうがないよね!


 それでもまぁ麻里は、思い入れがあったみたいでヘコんでたんだけど……。



 ※※※



 あれから数日が経ち、俺と麻里は久しぶりにコンビニにいた。


 イートインスペースのいつもの指定席で真剣な顔でタブレットに向かう麻里。


 俺は隣で麻里の髪を撫でながらその横顔を見て言った。


 「なぁ、麻里、……何で今さらコンビニなんだ?」


 「だって、……お互いの部屋だと、……バネ太すぐえっちな事してくるんだもん、全然はかどらないよー♡」


 麻里は顔を少しだけ俺の方に向けてイタズラっぽい笑顔を見せた。


 「……そんな事言ったら麻里だって、『〇〇の声』でシテとか言うだろ! それに〇〇時ホイッスル吹くのやめろよっ! せっかくのムードが台無しだろっ!」


 「だって、……〇〇時は一緒に〇〇たいもん♡」


 「そんな事言われたら、……麻里♡」

 「ダメよ、……バネ太、セルフレイティング『性描写無し』よ♡」


 俺が麻里を抱きしめようとした時、ドンドンと入り口を叩く音がした。


 ……何事だ? 店はもう閉まってるぞ? と思って自動ドアの前まで行くと、そこには浮間舟渡監督の姿があった!


 慌てて入り口を開けて、


 「監督っ! どうしたんですか? こんな所にっ!」


 すると監督はニヤニヤしながら、


 「たまたま近くを通りかかった時、お前がよくココでイチャついてるって社長が言ってたのを思い出してな! そしたらホントにイチャついててビックリしたよ、はははっ!」


 「いっ、イチャついてって! ……ハイ(苦笑)」


 そしたら麻里も入り口にやって来て、


 「お久しぶりです、監督っ!」


 照れ臭そうに挨拶をした。


 監督は驚いた顔をして、


 「君たち、……付き合ってたのか? まぁ二人共『あの声』が戻って良かったよな!」


 俺達の肩を叩いて笑顔で言った。


 「それより赤羽くん、……ちょっといいかな?」


 監督は麻里を気にしながら俺に言うので、麻里は気を利かせて、


 「私、先に帰ってるから話が終わったらウチ寄って♪」


 イートインスペースに戻り荷物をまとめ出した。



 「じゃあね、バネ太♡ あっ、監督も!」

 「何だ、俺は『ついで』かっ?」


 麻里は手を振って帰って行った。




 「ところで赤羽くん、この前話した主演のアニメの他にもう一つやって欲しい役があるんだ」


 監督にはこの前連絡があり、主演の話を指名で頂いたばかりだったんだ。


 「……その役ってなんですか?」

 「実はな、…………」



 ※※※



 「それじゃ、そう言う事だから宜しく頼むよ!」

 「はいっ! こちらこそ宜しくお願いしますっ!!」


 監督、……わざわざ直接伝えに来てくれたのかな?


 なのに俺は店でイチャイチャしようとして……恥ずかしいっ!!


 とりあえず、麻里の部屋に行こう。

 俺は店の入り口の鍵をかけて、麻里の部屋に向かった♡


 文字数も丁度いいし、『性描写無し』だし、この後の事はご想像にお任せしますって事でいいよね? ピピピピー♡♡♡



 第32話につづく♡



 ※※



 桜「さて問題です! 浮間舟渡監督はバネ太に何を言ったでしょーか?」


 1、蓮に代わって『ノブナガレッド』をやる

 2、『武将ファイブ』のラスボス役

 3、プリキュ〇の男戦士に抜擢!

 4、次の桜蘭舞の新作のCV

 5、その他


 正解者には今話で出てきた麻里の使用済みホイッスルをプレゼント! 欲しい方はコメント欄へ! ※未婚男性のみ応募可、年齢は25歳〜52歳まで(父より上はNG)




 ♪読んで頂きありがとうございました♪


 




 

 

 

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