とどけ、とどけ。


作中のコメントでも書かせていただきましたが、わたしには、作者さまは、はじめてこのサイトでお見かけした時から、うすい桃色のひかりに包まれているように感ぜられたのです。

理由はぜんぜんわからないけれど、夕暮れの、茜色さす山裾で、桃色のひかりにつつまれながら、とおくとおくに手を伸ばしている。

そんなひととして、わたしは、作者さまをずっと仰いでいました。

本作は、作者さまの日常のなかでふわっと浮いてきた、艶やかで、先鋭で、ときにほのぐらい、想いの影たち。それをうたのかたちでわたしたちに共有していただいているものと感じます。

共有していただいているから、わたしには、とおくに伸ばす手の意味が、りりりと穏やかになく野のすずむしたちの声を背景に、くっきり、映るのです。

とどけ、とどけ、って。

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