このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(670文字)
竜の王が期せずして出会った、かき消えそうな花の娘。強いがゆえに孤独だった竜は、やさしく無垢な花と言葉をかわすうちに、少しずつ変わってゆく。しかし……。対極にある二人のかかわりから始まる物語というテーマの描きかたも見事ながら、そこに一匹のトリックスターを噛ませたことで、ほのかに塩辛い味わいが出ています。まさに「三題噺」のお題を十分に活用した短編といえるでしょう。読み終えた後は、洞穴の闇に咲く白銀のいろに、おもわず目がにじむかも知れません。
壮大な物語。長編を読んだような重厚さ。つよきものとよわきもの。いのちを感じる、物語。竜の描写がすばらしく、かっこいい。心がざわつく、あたたかな、物語を、沢山の人によんでもらいたい。
書かれた言葉はそれほど華美ではないのですが、丁寧に世界と竜とが描写されていて、まるでその場にいるような圧巻の筆致を楽しめます。また、お話は童話や寓話のような心に残る素敵な作品。竜の孤独と威厳といたわりを感じます。そして私はボーイミーツガールのような瑞々しさまで感じたのです。何いってんだと思いますよね?ぜひお読みになって確かめてください!
本作は花と竜の物語であり、どことなくお伽噺を思わせる。そんな中でも、竜の描写は重厚なもので目の前に本当に竜が存在するのでないかと思わせるほど、想像力が掻き立てられる。竜の迫力と心情の移り変わり、そして優しさに触れることのできる物語です。