もっと奥のそこ

荼八 十吾

もっと奥のそこ

黒ずんだ これが心か 俯瞰して

見つめる私は どこの誰なの


逃げ込んだ 怠惰の布団 蒸れる肌

汗疹ができて 掻きむしる日々


裏切りは 罪かときかれ こう返す

私はそれを 許す人だと


悪評が 付いても止めぬ ここが終点

みなが1番 生きやすい場所


口八丁 それでも頼る 罪人を

捌く人々 此処にはおらず



狂い出す 歯車眺め 苦笑い

指を差し出し さらにひと押し


貫けば 何かになれる そう思い

すべき事から また目を背け


誕生日 すること聞かれ 俯いて

何をせずとも 今日は終わりて


脂汗 言い逃れては また流し

シャワーはそれを 許しては無い


ここまでと 腹をくくれど まだ逃げて

いっそそのままに 忘れてくれと



しょうもない 言い訳五万 考えど

突きつける刃は 逃れられずに


愚かさを 認めることは 簡単で

然れども先に 見える罪色


信用を 失い気付く 過ちと

それでも嘘を やめない口と


浅ましい 私の心 軽率な

言葉はみなを 苦しめ侵す


発言は 力を持って 心裂き

手放した声 どうにもならず



洗面所 鏡を見れば 顔映る

薄気味悪い 私の笑顔


逃げ癖が 染み付く体 自分でも

嫌気がさして 終わりたくなる


口に出す 言葉全てを 疑って

どれが真意か さまよい果てる


白粉を 落としたはずが 続く劇

この擬娩とは 離れられない


一首詠み 己の下衆さ 見返して

少しの加筆で 世に放つ文

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もっと奥のそこ 荼八 十吾 @toya_jugo

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