第2話 少女とピストル
……よく分からないし、関わるのも面倒だ。
よし、帰るか。
「助かってよかったな。じゃ!」
――ザクザクザク
※その場から立ち去ろうとする足音
(え、ちょ、ちょ、ちょ)
↑女の子の戸惑っている感じの声
まだ脳内で声はするが、ここはスルーだ。スルースキルの見せ所だ。
俺は振り返ることなく歩いていく。
ピューン、ポコンッ
↑小さなものが飛んできて当たる音
「いってぇ!! なんだよ、また後頭部に何か飛んできたんだけど」
※頭をさすりながら振り向く主人公
(おい、オヌシ! ちょっと待て!)
↑ヒロイン仁王立ちをして、両方の腰に手を当てぷんぷんと怒り顔をしている。
「なんなんだよ、助けてやったんだからもういいだろ?」
(よくない! オヌシには情けというものがないのか!)
「ないよ、そんなもん。なんで意味の分からん人形の相手なんてしないといけないんだよ」
(……なんてやつだ。もっといいやつそうな気がしたのに。わっちの勘が外れるなんて、そんな事なかなかないのに。ならば仕方ない。奥の手だ!)
――ザッ……
↑何かを取り出した物音
女の子は手に持っていたピストルを俺に向けた。
「え、なに。そのピストル。なんなの、お前、そんな怖い顔して……俺を撃つ気か!?」
※この辺りで不穏なBGM
まさか、俺はこんな
俺の人生そんなもん?
※ここで不穏なBGMカット
なーんてな。そんなバカな。あんな小さなピストルなんかで人を殺せるものか。
(↑明るい口調)
※ここでまた不穏なBGM
けど……なんなんだよ、あの真剣な顔は。まさか……あのピストル、小さいけど殺傷能力は高いのか!?
「な、……なんだよ、この赤い光! 俺の心臓を……狙ってる?? まさかそのまま撃つつもりか? な、なんだ?? 人形の瞳から目が……離せない!! か、体が!! 動かない!!」
※この辺りからBGM小さく
(ふっふっふー、かくごー!)
「ま、待って、ちょっ、ちょっと!」
※不穏なBGMここまで、ここから明るい感じで
(とりゃああああ)
ピュ————ン(おもちゃのピストルのような電子音)
パコンッ(当たる音)
「痛っ……た……くない。あれ? なに? なんなんだよ」
(ふっふーん! 当たったぞ? まいったかー! 命中したからリルアの勝ちだ! 負けたお前はリルアの願いを聞け!)
↑得意げな声
「え?」
(……置いて行こうとするなよ、ばかぁ。寂しいだろ。お前の家に連れて行け。さもないと、本当に泣くぞ? え——ん)
↑少ししょんぼりしながら拗ねたような声、最後は嘘泣き
「はぁ……? お前、一体なんなんだよ……。さっきの後頭部の痛みもお前のせいか」
↑呆れたような声
彼女が一体何者なのか、意味不明ではあるがとりあえず、さっきまでの後頭部の痛みがこいつのピストルのせいだった事だけは、理解した——。
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