第1話 少女との出会い


――ザクザクザクザク

※河原を歩く音と河原の環境音


「あーいい天気だなあ。絶好の散歩日和だ! 嫌な事なんか吹っ飛ぶくらいの快晴! この河原まで散歩に来て正解だったな」


 まだ六月のはじめということもあって、この河原には誰もいない。


 俺は一人になりたかった。三年間片思いしていた相手に、告白することもなく振られた気持ちを整理したかったからだ。



※やわらかい風の音


「はー。風が気持ちいい……」


 俺が目を閉じて川の音と風の心地よさを感じている時だった。



——ピューン コツンッ



「いってええええ! な、なんだ? 今何か後頭部に当たったけど……なにも……ない、よな??」


※主人公後頭部をさすりながら振り向く


↓可愛い女の子の声(エフェクトかける)

(やったぁ! やっと当たった!! オヌシ、ちょっとそこのオヌシ、頼む、助けてくれ!!)


「え、なに、これ、俺の頭の中で変な声がする……テレパシー?? まさか、そんなわけ……」


 あたりを見渡して見るが何もない。


(ねぇ、オヌシ、キョロキョロしてないで、ここ、ねぇ、こーこ!! 早く助けてよぉこんちくしょー!!)


「な、なんだなんだ!? やっぱり気のせいじゃない? 俺の頭の中に直接話しかけてくるようなこの声……なんなんだよ、あたりには誰もいないし……」


(ねぇ、もー!! 早く見つけてよおおお!! ……泣いちゃうぞ!?)


「え!? 何、どこにいるんだよ、誰なんだよ……」


※声の主を探しながら砂利の上を歩く主人公のジャリジャリとした足音


(んー!! もう!! ばかぁ!! あ、違う、そっちじゃない、だめ、やだ、行かないで、こっち、そう、そこ!!)

↑強気と弱気の緩急を付けた言い方


「……そこ?? どこだよ」


(ここ!! オヌシの足元!!)


「はぁ!? 足下!? (何かを見つける)……え、なに、これ、人形?? 俺の頭の中の声、こいつ!? ……と、メロン?? なんでこんなところにメロンなんか……」


 俺の足元にはなぜかメロンが落ちていて、その影で十センチくらいの全身銀色のちっこい女の子が、バタバタと陸の上をバタ足するみたいに動いている。


(やっと見つけてくれたか!! ばか!! ねぇ、早く助けてよっ、もうやだ疲れた。泣くぞ? こんちくしょー、うわぁぁぁん)


「え、えええ?? メロンも意味わからないけど、何この銀色の人形みたいなの……やけに動きがリアルなんだけど。……助けて?? ん? ああ、服がメロンの茎に引っかかって動けないのか。にしてもなんでこんなところにメロンなんか??(ガサゴソとした音)……ほら、取れたぞ」


――シュタッ

※女の子が着地した音


(あああ!! やった、やっと解放された!! 立てる!! 立てるぞ自分の足で!! ああ、つらかった……もう一生あのまま地に足を着くことなく死ぬのかと思った)


 バンザイをしながら喜ぶその小さな女の子は、全体的にピカピカしている。メタリックとでも言うのだろうか。


 髪はストレートのロング。

 瞳がグリーン。


 パッと見た感じ、手のひらサイズの人形を全身銀色に変えた感じ。


 目はぱっちり二重、そして小さな口の童顔。普通にかわいい。


 だが。


 なんだよ、これ。


 俺には人形遊びの趣味は……ないっ!!

↑少し強調気味のエフェクトがかかった声



――――――――――――――――――――――――――


1日3話ずつ、朝8時10分ごろ、14時5分ごろ、18時10分ごろ

6月23日~27日までの5日間で完結です!! 

(初日のみ前書き含めて4話分)

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