第27話 最後の氷

キアの元には絶対に行かせない。


「おい、アイスそこをどけ。邪魔だ。」


「年下のお前に呼び捨てにされる覚えはないな。アイスランス。」


 大人しく死んでくれ。

 アイスが、放った氷の槍がガースに命中した。


 確実に心臓を貫いたな。


「アイス、それで倒したつもりか?」


「お前は化け物だな、普通心臓を貫かれたら死ぬだろ。」


「ふん。黙れ。落ちろ。」


 なんだ。立てない。重力の魔法なのか。くそ。


「おい、お前。一体何者なんだ。ただの人間ではないよな?」


「地面に這いつくばりながら質問か。死にゆくお前に答える義理はない。」


「そうか、心臓を貫いても死なないなら。動けなくするまでだ。氷結界。」


 ガースが完全に氷漬けになった。

 何度目かの人生で、結界という不思議な魔法を使う人から教えてもらった技だ。これを突破できたものはいない。


「アイス。お前この技をどこで知った??」


 バキン。


「破られた??」


「アイス、この技は普通の人間が知れる技ではない。お前の人生でこれを使えるものに会えるはずがない。どういう事だ?」


「答える気はない。」


 くそ。ここまでは正直実力差がありすぎる。キアは逃がせたか。父上も母上も、もう限界だな。


「父上、母上。」


「アイス、逃げろ。」

 父上が血まみれだ。母上ももう。


「アイスフィールド。父上、母上いま行きます。」


 完全にフレアー家に囲まれた。もうここまでだ。


「父上、母上。今までありがとうございました。勝手な行動をお許しください。」


「アイス、何を言ってる早くにげろ。」


「すみません。エターナルアイス。」


「ガース、アイスを殺せ。それはまずい。」


「はい。消えろ。」


 ・・・・・・

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