第23話 時雨の過去
私は、人より多く物を持って生まれた。
勉強、運動、音楽、容姿。
どれも特別他の人より特に
人より成績が平均的に良かったし、運動も特に苦手な種目というのも生まれず足も速かった。
音楽に関しては、ピアノを習わせてもらってより良くなって、小学校の中学年くらいからは音楽クラブでトロンボーンを吹かせてもらうようになった。
それまでは良かったんだ。ただの優等生で済んだんだから。
私は、容姿も他の人よりよかった。
最初は良かった。私も可愛いと自分で思えていたのだから。
だが、小学校4年生の時。
そこから変わってしまった。
〈お前人より可愛いからって調子乗んなよ!〉
そう、ある女子に言われたのだ。
今でも一言一句覚えている。
その日から私は虐めを受け始めた。
上履きはゴミ箱に捨てられ、教科書には落書きをされ、暴言暴行をされ、…………
両親には言わなかった。不安にさせたくないから。
だからお風呂は一人で入り、私服も長袖など露出の減る服が好きということにした。
でも、そんな私をいじめっ子から守ってくれた男の子がいた。
〈お前ら、時雨をいじめるのはこの矢矧が許さないぞ!〉
それが私の幼馴染である、富岡矢矧だった。
彼はその言葉を放ち、私を虐めから守ってくれた。
そのせいで虐めの標的が彼へと変わり、また今までの生活ができるようになってしまった。
今でも申し訳ないと思っている。
無関係だった男の子に全ての傷を
だが、矢矧と私が5年生になった時、矢矧のお父さんのお仕事の影響で矢矧が転校して行ってしまった。
そしていじめっ子たちは元の標的である私に戻ってきた。
私の見た目上の特徴は、“スタイルの良さ”と“
前はいじめる理由は“スタイルの良さ”だった。
高い背、長い脚、整った顔、少し大きな胸など。
だが、次はその“紅い目”という特徴がいじめの標的になった。
本当に虐める奴らとは身勝手なものである。
虐めの影響で、私は私が嫌いになった。
鬱のようにもなった。
でも、家族の前では絶対にそういう所は見せない、それだけは努力した。
よくよく考えれば、紅い目なんて日本どころか海外ですらほぼ見かけない。
以前何かの記事を調べたことがあったが、目が赤い人の割合は0.001%ほどらしい。
これだけ少ない人しか持たない紅い目を持てたことを喜ぶべきか憂うべきかは、当時の私はわからなかったし、今の私もわからない。
一時期は、自殺だって考えた。
でも、死ぬのが怖かった。
そんな心の弱い私の心をも、私は
その怨みがあまりにも大きくなりすぎたせいか、私には裏の人格ができてしまった。
要するに、私は二重人格になったのだ。
その裏人格は、私の心に極めて強い衝撃が走った時に現れる。
特に酷い虐めを受けたりとか、そういうのだ。
時々現れ、いじめっ子たちを逆に酷い目に遭わせてしまったことで、いじめも裏人格の性格の悪さも悪化していった。
時はゆっくりと流れていき、小学校6年生が終わり中学生になる頃。
私はついに両親にこのいじめのことを打ち明かし、遠くの中学校へ転校した。
その中学校というのが、
中学校からはいじめは無くなった。そして、偶然矢矧と再会した。
現在共に旅をしている友達、坂田朝凪や吾妻睦月、吾妻如月とも出会った。
私は、中学校に上がってから幸せな日々を過ごすことができた。
小学校の時からトロンボーンをやっていたことが功を奏し、一年生にも関わらず坂田くんや他の一年生とともにコンクールへ出場できた。
幸せな日々はあっという間に過ぎていき、二年生になった。
そして1学期の終業式の朝、異世界へ転生した。
ここまでが、私が虐められたきっかけ、内容、その後。
今の幸せを大事にするように生きていく、それが私の望みだ。
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