第10話 攻略作戦へ

 1節 宿を出て、武器屋へ



「坂田くん、朝ですよ」


「あ、おはよう時雨」


「珍しく目覚めが良さそうですね?」


「うん。綺麗な歌だったからね」


「ありがとうございます」


「あ〜!なんかあさっちとしぐれんでなんか仲良さそうにしてる〜!」


「お、不純異性交友か?」


バカ野郎矢矧と如月はちょっと黙ってろな?」(朝凪


「んー朝からうるさいよ〜……私の睡眠を邪魔しないで」(睦月


「いやもうだいぶ陽登ってるけど」(如月


「おっと?」(睦月



 そんなこんなで賑やかな朝は、なんかよくわからないまま朝ごはんを食べて終わった。



「んで今日は何するわけ?」(如月


「クラーマーさんと話をして、武器を用意してもらって倒しに行く」(朝凪


「ん〜りょーかーい」(如月


「それじゃあ早速いきましょうか」(時雨


「了解」「「りょーかい」」「おう」(一同




「お、みんな来たか」



 もうすでにクラーマーさんは公園で待っていた。



「はい。それで倒しに行く話なんですが」(朝凪


「お、引き受けてくれるか?」(クラーマー


「はい。引き受けます」(朝凪


「そう言ってくれると助かる。ありがとうな」(クラーマー


「それで、武器は何がいるんだ?」(クラーマー


「えっと、普通の剣が2本に、短弓たんきゅうが1つです」(朝凪


「分かった。それじゃあついてこい」(クラーマー




 クラーマーさんに着いていくと、武器屋へと辿り着いた。



「おお、クラーマーさんか。今日は・・・そこの子供達にか?」



 店の奥から出てきたのは、色々な工具が入っているベルトを装備した中年くらいの男の人だった。



「ああ。ブロードソード2本とショートボウ1本だ。頼めるか?」


「いまあるやつでいいならあるぞ」


「じゃあそれを頼む。代金は俺が払う」


「あいよ、毎度あり」




「これが剣で、こっちが短弓だ」(武器屋の人


『ありがとうございます』(時雨・朝凪・睦月

「おう!頑張れよ」(武器屋の人



「それで、例の巣なんだが、ビレノート駅の方に行って、突き当たりの丁字路を左に行くと街を出れる。そこから左の方に森が見えるから、その森の中だ」


「わかりました」


「それじゃあ気をつけてな」


「ありがとうございます。行ってきます」




「んじゃー武器いい感じにしまってー」


「いや、雑か」


「貨物室だけで奥行き4メートルくらいあんだから適当にそこに置けばいいじゃん。めんどくさいし」


「ほいほい」


 その間に僕は車を動かす準備をする。


「お前ら煙出るから気をつけろよー」


『分かった』



 いつも通りクランク棒を回しながらスロットルを上げて起動する。



 パッパッパッ!!


 ガラガラガラガラ!!!



 相変わらずのやかましいエンジン音だ。それでも現代の車に比べて少しうるさい程度だが。



「乗り込んだか?」


「全員います」


「了解、んじゃ出発」



 クラッチを繋いで駐車場を出て、言われた通りに進み街を飛び出した。



 2節 いざ、魔物の巣の攻略へ



「だいぶ森だなこれ」


「そりゃ森なんだから、森でしょ」


「知能ゼロになった?」


「それな」



 んなわけで僕らは森の中、魔物の巣へ向かっている。クラーマーさん曰く雑魚ばっかだそうなので多分大丈夫だ。



「・・・なんか禍々しい空気になりましたね」


「え?そう?」


「そんなことないと思うが・・・」


「僕も別に」


「私も」


「時雨だけが感じ取れるのかもな」




 それからまたしばらく走り続けて、時雨の表情が少しずつ変わり始めた




「禍々しい空気がどんどん強くなってます・・・」(時雨


「大丈夫?顔色ちょっと悪いよ?」(朝凪


「いえ、体調では変化はないのでお気になさらず」(時雨


「ならいいんだけど、なんかあったら言ってね」(如月


「はい。わかりました」(時雨




「あ、今度は少しずつ弱くなっていきます」


「じゃあここら辺で降りて探してみよ」


『わかった』



 僕はエンジンを止めて、車から出てトランクへ回った。



 クソ雑に積み込んだせいか剣と弓は見るも無惨な散らかり具合になっていた。



 あ、そういえば矢もやじりが木のやつから鋭い石のやつに変えてもらってたような。これでクソザコダメージしか出ないことは無くなった。……はず。



「それじゃあみんな武器持ったか?」


「そんぐらい見ろ」


「あっはい」


「それじゃあ時雨のレーダーを頼りに探しに行こう」


「なんか私の名前も相まって軍艦みたいになるのでやめましょう?それ」


「どちらかというと電探でんたんじゃね?」


「確かに」


「男子さん!」


『っ……www』(吾妻姉妹


「吾妻さん!」



 なんだかんだわっちゃわちゃしつつ10分後(しぐれんレーダー大活躍)



「うっわあなんかあからさまにダンジョンですよーみたいなの出てきたー(棒)」


「なんか話通りイノシシみたいのもいるしな」


「んじゃあなんか不安だけど戦闘開始〜!」


『了解!』



 それじゃあ早速、戦闘開始!



 3節 戦闘開始



 まあずは状況確認。装備している武器は普通の剣ブロードソード1本。敵の数は5体。1人1体担当すれば多分なんとかなる。とりあえず1番近くにいるやつを狙う。



 敵はこっちを見て睨んでくる。両手で剣を構える。



「!」



 鳴き声を上げながら突進してくる。すかさず右に避け剣を振りかぶる。



「うっ!」



 少し転んでしまった。



 ジャンプ中に振ったためか姿勢が少しズレて着地に失敗した。その隙に敵は反転し突っ込んでくる。



「喰らえ!」



 剣を敵に突き立てる。しっかり命中し、敵は倒れた。剣は抜いても意外にも血は出ず、剣にも付いてなかった。



「そっちは倒せたか?」(矢矧


「うん。意外とゲームとかアニメのキャラクターがやってるような感じでやればいけ

 るんだね」(朝凪オタク


「このオタクがよ」(如月


「どうせ何言ったって聞かないのはわかってるからノーコメントで」(朝凪


「それじゃあ中に入りましょうか」(時雨



 4節 ダンジョンの中へ


「……なあ」(矢矧


「言いたいことはわかる」(朝凪


『暗くね?』(矢矧・朝凪


「んまあさ、人が作ったやつとかじゃないからゲームでよくある蝋燭ろうそくの明かりとかがないのはわかってたけど……」(如月


「それにしたって暗いですよね……」(時雨


「車になんか灯りのある装備積んである?」(睦月


「いやないな」(朝凪


「だよねー……」(睦月


「えーこれどうする?」(朝凪


「お前が引き受けた依頼だろ」(矢矧


「…………ん!」(朝凪


「どうした」(矢矧



「閃いた!」(朝凪

「通報した」(矢矧



「なんでやねん」(朝凪


「んじゃあ」(朝凪


「ヒラメいた!」(朝凪


「いるわけねぇだろ」(矢矧


「あら冷たい」(朝凪


「んでなんだよ」(矢矧


「車で強引に進む!」(朝凪


「バカじゃないの?」(矢矧


「いやちゃんと考えてるよ?」(朝凪


「バカだったわ」(矢矧


「今日の富岡さんは返しが鋭いですね」(朝凪


「でも、剣も弓も車の中では使えないですよ?」(時雨


「あの車ワンボックスだからまあまあ強度あるだろうし敵も弱かったから体当たりで進めばよし。エンジンもディーゼルだし」(朝凪


「脳筋ってこいつのことを言うのか」(矢矧


「まあまあまあまあ任せとけって」(朝凪


「なんか不安ですがだからと言って他に案もないですし、泥舟に乗りますかあ・・・」(時雨


「泥舟言うなやちゃんと行けるから」(朝凪



 と、いうことで、僕らは車を取りに戻った。

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