第21話 1998年獅子座流星群

「大丈夫?痛くない?」

「大丈夫。痛くないよ」

「ちょっと血出たけどこれ大丈夫なん?痛いの我慢してない?」

「ほんまに大丈夫!してる時も最初痛いかもって思ったけど途中から痛くなかったよ!」

「はぁー、良かった」

ぎゅーって抱きしめられる。

親友がもっと好きになるって言うの、本当にそうだと思った。

裸で抱き合ってキスして、このイチャイチャの時間が幸せ過ぎる。



「なぁ、喉乾かん?てか今何時?流れ星見に行くのがメインなんお前忘れてない?」

「あー…?え?今何時?」

高橋が部室の電気付ける。時計は2時10分。

「うわ、もう2時過ぎてるやん!」

バタバタ着替えて、エロ本出しっぱのまま部室を出る。

自転車二人乗りして出発。

何か音楽かけてって言うから高橋に片方のイヤホン渡して再生する。

「お前、これ好きやな」

幸福論がかかってる。

「だってまさに今、幸福なのですって言いたいやん?」

高橋に抱きつきながら二人乗りして見る町の風景は不思議といつもより綺麗に見えた。



「遅い!」

「ごめん!」

高橋と2人で謝る。

「あたしらどこ見ていいかわからんから、待ってて寒いだけやったんやけど」

「ほんま、ごめん!!」

「で?どこ見たらええん?」

3人に見る場所説明する。

放射点は獅子の大鎌と呼ばれる部分。割と低い位置に見える。

まぁ、だいたいの方角見てれば見えるはず。

道路に座り込んで星空を見上げる。

3等星の星がちゃんと見えるくらいの暗さ。

2・3分見たら高橋が

「流れ星見えんよ?」って

「そんなすぐには見えんと思うよ?」


ミルクティー持ってきてたのを思い出して、高橋と一緒に飲みながら見上げる。

その時スーッと流れ星が流れる。

「あっ!!見た!?」

「見えた!俺人生初の流れ星!スゲー!!」

そこからぼーっと見てると何個か見える。

「本当に見えるんやね!スゴイ」ってキャプテンも喜んでる。

キャプテンとなお君は3時になったら帰らないとダメらしくて先に帰った。

そこから高橋と2人。


「寒いな」

うちのマフラーを高橋に巻いてあげる。

高橋がうちの後ろに回って抱きしめる。

立てた膝と腕の中にすっぽりはまって暖かい。

抱きしめてる腕をぎゅっと持つ。

時折流れ星が流れる。

多いと一度に2個・3個同時に流れる事もある。

「綺麗…」

後ろを振り返って高橋を見ると、「ん?」って言いながらキスをしてくれる。

星空の下、流れる星々にずっとこの幸せが続く事を祈った夜。








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星降る夜に @rioruna0604

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