自白

工藤ひより

第1話


「証拠がない」

.

.

.

.

.

.

同僚の刑事たちは皆、口を揃えてそう言う。

.

.

.

.

.

.

.

.

だが、俺は諦めない。

.

.

.

.

.

.

.

証拠はまだ見つからないが、絶対にあの女が犯人だと確信を持っている。

.

.

.

.

.

.

.

長年の刑事の勘だろうか。

.

.

.

.

.

.

.

「俺が必ず捕まえてみせます」

.

.

.

.

.

.

.

そう言い切って俺は警察署の会議室を後にした。

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

刑事歴25年。

.

.

.

.

.

.

.

刑事一筋。

.

.

.

.

.

.

.

これまで数々の時間を解決してきたが、今回の事件は難題だ。

.

.

.

.

.

.

.

.

1ヶ月前、国立競技場付近の広場で50代の男性の遺体が発見された。

.

.

.

.

.

.

事件当日の防犯カメラの映像には、被害者が死亡する前に1人の女と言い争っている様子が映っていた。

.

.

.

.

.

.

被害者と同年代のその女の家を訪ねた際、俺が刑事だと知った瞬間に明らかに女は動揺していた。

.

.

.

.

.

.

そして女は、事件当日に被害者と会っているにも関わらず、彼のことは知らないと嘘をついた。

.

.

.

.

.

.

また、彼女にはその時間帯のアリバイもない。

.

.

.

.

.

完全に黒で間違いない。

.

.

.

.

.

.

あとは、証拠だ。

.

.

.

.

.

.

.

.

俺は証拠を掴むべく、毎日警察署で資料を読み漁り現場にも足を運んだ。

.

.

.

.

.

.

.

.

だが、それから1ヶ月が経っても彼女が犯人だという証拠は何一つ出てこない。

.

.

.

.

.

.

.

そこで俺は、被害者の死亡推定時刻にアリバイがないとの理由から、彼女を重要参考人として警察署に呼び、取り調べを行うことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自白 工藤ひより @bui-bui

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ