夢の中へ出すっ




 祭りだ。


 それが始まった。


 「すげえやっ」


 歓声を上げた。


 熱気が凄かった。


 まるで同性愛者の性行為みたいだった。


 本当にわくわくした。


 これが犯罪ではないなんて信じられなかった。


 みんなきらきら輝いていた。


 なかよし四月号の付録みたいだった。


 とんでもなく豪華だった。


 飛び散る汗が光ってた。


 このままこんな状態が続くなら生きることはなんて素晴らしいんだろうって思えた。


 でも終わった。


 呆気なく。終了。


 「えー、祭りは終了いたしました」


 スピーカーから不明瞭な声でそう告げられた。


 今は脱力気味に皆で後片付けなどをしている。


 ………あの熱狂は何処へ?


 参加者たちはそれぞれの家へ俯いて帰って行ったのだった。


 これが太郎くんの話しである。


 それか花子さんの話しである。


 おれ?


 おれではない。


 おれはまだ登場していない。


 おれは太郎でも、花子でもない。


 おれはそんなぼんくらみたいな名じゃない。


 おれの名前は鬼龍院光牙。


 今は無免許で肺呼吸をしている。すうはあ。


 おれは他人の祭りには参加しない。


 だからそれが始まろうが終わろうが知ったことではない。


 人々が群れを成し興奮するようなものに対し常日頃から軽蔑の眼差しを向けているのだった。


 「鬼龍院くう〜ん」


 幼馴染の如月香織が乳丸出しで朝、駆け寄って来た。


 多分、覚めない夢が始まるんだと思う。







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