第29話 光君効果???
午後は不思議なくらい頭の回転が速い感じがして
仕事もスムーズに進んでいく。
「あの、これ頼まれた資料のチェックをお願いします。」
後輩がいつものごとく俺から少し距離を置いて書類を差し出してきた。
何か怯えるように微妙にしか目を合わせてこない。
「はい、わかりました。いつまでに見ておけば間に合いますか?」
「あの、明日の午前中までには…出来たらでいいんで…」
「わかりました。」
そう言うと、いつもなら素早く席に戻る後輩がまだ目の前に立ったままだ。
俺は他にも何か伝達があるのだと察し、後輩の顔を見た。
「こんなこと言っていいのかわかりませんが、先輩も口角上がることあるんですね。今初めて僕に微笑みましたよね?」
???
コイツは何を言ってるんだ。
俺が微笑むはずない。
思わず聞き返す。
「え?」
「自覚ないんですか?ほんのちょっとですけどニコッてして書類受けとりましたけど…。僕が入社してから先輩とペアですけど無表情しか見たことなかったので。先輩の微笑みパンチ力ありますよ。そっちのほうが何ていうか…話しかけやすいです!」
目の前の後輩が後頭部が見えそうなくらい頭を下げている。
俺はそんなに普段険しい顔で座ってるのだろうか。
ずっとペアで組んでいるコイツに申し訳ない気持ちになる。
「いやっ、ちょっと、誤解されるから頭上げてください。その、俺、無愛想だから色々気を遣わせていたのなら申し訳ない。」
「あっ、すみません。突然変なこと言ってしまって。かなりレアな瞬間を目撃したのでつい。失礼しました!」
そう言うと後輩は素早く席に戻っていった。
俺が他人に微笑むなんてことあるんだろうか?
自分ではそんな顔したつもりまったく無い。
普段機嫌が悪いわけでも何でもないが険しい顔をしているように見えてるのか…。
少し意識して気をつけないといけないか。
少し反省しつつ、残りの仕事に集中した。
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