第28話 直樹行動する
あれから二週間、相変わらず光君からの連絡はないままだ。
スマホに何度も同じ文章を打っては消す、打っては消すを繰り返す。
10回ほど繰り返しただろうか。
俺はついに光君へメッセージを送った。
「あれから家は落ち着いた?
今日仕事帰り7時ごろいつもの喫茶店に寄ります。良かったら立ち寄ってみてください。」
この短い文章を送るか、送らないかで仕事の昼休みの半分を使ってしまった。
会社の屋上で空を見上げる。
今にも雨が降り出しそうだ。
俺は何がしたいんだろう。
緊張で手にかいた汗をハンカチで拭きながらぼんやりとそんなことを思った。
ブブブッ
スマホのバイブにビックリしてしまう。
反射的にすぐに画面を開いて見ると光君からの返信だった。
「お疲れ様です!僕のこと気にかけてくださって嬉しいです。バイトも無いので寄りますね♪」
明るく爽やかな返信がきた。
俺はまた空を見上げる。
光君から返信がきた途端、さっきと同じ空、湿気を帯びた風なのに清々しく感じてしまう。
俺は慌てて返信をする。
「良かった。あれからどうしたか少し気になってたから。着いたらまた連絡するよ。ムリはしないで。」
するとまたすぐにスマホが鳴る。
「僕も聞いてほしいので必ず行きます。」
俺は胸の中が何か不思議な感覚で満たされるのを感じた。
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