第24話 1週間が始まる

月曜の朝はいつもしんどい。

でも今朝は違う。

なんだかすごくスッキリした気分だ。


「おはよう」

妻はすでに朝食の支度を終えようとしている。


「おはよっ。」

俺は妻に挨拶をして身支度をする。


久しぶりに鏡で髪をマジマジと見たら白髪が。

しかも結構多めに。


この歳で真っ白は嫌だ。

俺もそろそろ白髪染めしたほうがいいのか…


テーブルに座り妻に聞いてみた。


「なぁ、俺の頭の白髪ヤバいか?」


「どれ?」

と言いながら妻は俺の後頭部を掻き分けながら全体を見る。


「うーん。そうだね。そろそろ染めたほうがいいのかなぁ。直くんが見た目気にするなんて珍しっ。」


「そ、そうか?いや、だって職場の若い連中に爺さん扱いされても嫌だし。」


「爺さんって(笑)その程度じゃ全然大丈夫でしょ。まっ、でも清潔感は大事よね。」


「そっか。じゃあ考えようかな。」


そう言うと俺は朝食を済ませ家を出た。

通勤電車に乗り座って外の景色を見る。

窓ガラスに映る俺はどこからどうみても中年男性だ。


ふと光君のことが頭に浮かぶ。

いくら同年代いの友達がいないと言ってもこんなおじさんと食べ歩きに行くなんて。


学校の中の狭いコミニティの中で一度変なイメージがつくと、そのイメージがずっとついて回ることは俺にも経験あるからわかる。

でも光君を見ていて女っぽくてキモいなんて一瞬たりとも感じなかった。

なんで光君の大学のヤツはオリエンテーションという場で変なことを言ったんだ。

なんか腹立ってきた。


光君が同世代と関わって経験できるはずの楽しみを味わってないことに悲しい気持ちになった。

俺にできることはしてやりたい。

そう思った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る