第9話

―――次の日。


「て言うか、山に入るって事は、ちゃんとした服装で行かなきゃ、ダメじゃない?」


私は、シロネに着させられた、袴に対してそう言う。


「山って言っても、舗装された道だから、大丈夫よ!

だけど、その山は昼間でも、人が寄り付かないで、噂だけど」


シロネは、少しニヤッとした。


「それが、どうしたの?」

「そりゃ、アンタ、人が寄り付かないって事は、天狗が居るのかもだし、刀をだって振り放題よ!」


何だか、シロネは興奮した様子でそう話す。


「分かったから、行くよ」


私達は、その山に向かう一歩を、踏み出した。


―――山の近く。


「風っ強い」


山に近づく程、風が強くなっていっている。

その中を私達は、ゆっくり進んでいる。


「何とか、辿り着いた」


山に入ると、今度は逆に風が弱まり始めた。


「でも、これは、天狗が居そうな感じにゃね」


猫様は、何かを感じたのか、上を警戒している。


「また風が強くなる前に行くわよ」


シロネは、そう言い先に、進み始める。


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