琥珀

炭の匂い

漂うソースの香り

鳴り響く下駄の音

私はこれを

不協和音と感じる

ただ空はいつまでも綺麗で

天空には琥珀色の月が浮かんでいる


今日は中秋の名月

琥珀色の月は

いつもより輝きを増して

私に語りかける

私はその声に気づいているのだろうか

否気付いていない訳では無い

ただ反応に困ってしまうのだ


月が好きだ

恐らくこれ程愛している者は

他の誰もいないだろう

私は空に浮かぶ

あの琥珀色の月を

ただひたすらと眺めるのみ

ただそれだけである


愛するものを近くに置きたいだろうか

一生飼い殺したいと思うだろうか

私は思わぬ

愛するものは万物に愛されるべきだ

月も同様に

愛されるべきだ


夜空を見上げる

月を見る

感情を失った私は

この瞬間にだけ

薄らと

感情を取り戻すのだった

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