第10話 愛華さん流石にナンパされすぎ問題


「な、何よ貴方達!!」


「君今1人〜?もし良かったら俺達と遊びに行かね?」


「いいねぇ!それ!」


「行くわけないでしょ!生憎男の人と待ち合わせ中よ」


「そんな女待たせる男なんかより俺らの方が良いって!ほら!」


 そう言って女性の手を掴もうとするチャラ男、だがそれは後ろから伸びてきた手に遮られる。


「ねぇ、君達さぁ、俺の女に手を出してどういうつもりか分かってるの?そんな事したら社会的に死んじゃう事になると思うけど…… それで良いのかな?」


「恭弥くん!!…また俺の女って言われちゃった///」


 俺が来たと分かった瞬間から愛華の顔がパァと明るくなる、めちゃめちゃ可愛いなオイ!(迫真)

って、そんな事より今は目の前のこいつらゴミを何とかしないとなぁ。


「あ?何だよお前、ちょっと顔が良いからって調子に乗ってんじゃねぇーぞ!!」


 そう言って男は拳をこちらに振り翳してくる。えぇ?この男正気か?こんな駅前で結構人通りが多いデートの待ち合わせ場所のテンプレみたいな所で急に人に殴り掛かるとかありえないだろ…… 常識的に考えて!!っていうか、まぁ100円のエロゲに常識を求める方が間違ってるか、どれだけありえない事だと思ってもこれはゲームの世界なんだし、マジレスするのは良くないよな。


「恭弥くん!」


 ん?おっと、寸前のところで男の拳を交わす俺。愛華の声が無ければ危なかったなぁ、俺の悪い癖だ。

 ついつい考え事に熱中してしまう、にしてもこいつらどうしようかなぁ(考え中) 別に今ここで再起不能になるまで殴り倒しても良いんだけど、今結構注目浴びてるしなぁ。

 とりあえず殴り返すってのは却下、じゃあ次は周りの人に助けを求める…… それも却下。

 大体こういう時は誰も彼もが見向きもせず通り過ぎていくって、いや見向きこそはするが、面白がって動画撮影してSNSにアップする様な奴らしかいないのがテンプレ。

 はぁ、あまり愛華の前ではカッコ悪いとこ見せたくないんだけどなぁ…… まぁ仕方ないか、ここは1発殴られてこいつらを社会的に殺すのが一番だな。


「クソがぁ、おい!鳥山!こいつを抑えろ!」


「分かった!!」


 そう言って俺を抑えようと近寄ってくる鳥山とかいうモブキャラ(笑) とりあえず大人しくしとこうかな。少しだけ抵抗する演技もしといた方が良いかな?


「やめて!恭弥くんには手を出さないで!」


 そんなくだらない事を考えてると、愛華が鳥山の腕を掴んで止めようとする。


「あ?女はなぁ、黙って見とけば良いんだよぉ!」


 そう鳥山は叫ぶと、鳥山は愛華に対してかなり強めのビンタをお見舞いした。



─────────────は?…… こいつ、愛華に対してビンタをしたのか?


「くぅ!」


 愛華はビンタをされ地面に手をつきながらも、鳥山ともう1人の男を睨み付ける。


「あぁ、もう大丈夫だよ愛華……」


「え?恭弥くん?」


「ちょっと鳥山ともう1人のモブ谷くん、あっちの路地裏で俺と話しない?」


 そう言うと男達は呆れた様な視線を一瞬こちらに向けると、いきなりニヤリと笑い出し頷いてくる。


「ちょっと!恭弥くん!路地裏だなんて危ないわ!!もし恭弥くんに何かあったら……私!」


「うーん、本当に大丈夫だから、愛華はそこのベンチでちょっと休んでおいて、ビンタされたところ何かで冷やしておいた方が良いかも」


 俺はそれだけ言い残すと男達を引き連れて近くの路地裏に移動した。愛華は尚も渋ったが、お願いと真剣に頼んでみると警察呼んでおくから、だから怪我だけは絶対にしないで… とだけ言って了承してくれた。


「おいおい、こんな路地裏にまで来て一体何すんだよ?(笑)」


「まさか、俺達に殴られる準備でも出来たのか?あぁ、安心しろよ、あの女は相当顔やスタイルが良いからなぁ、酔わして俺達で犯しまくった後は後輩達にしっかりと回して有効活用してやっから(笑)」


本当に救いようのないぐらいのクズっているんだな、変に吹っ切れてしまった。こいつらはここで一回壊そう、静井家の力があればこんぐらいは揉み消せるだろ。


「さて!一つだけ、言っておこう!世の中にはね、絶対に喧嘩を売ってはいけない存在ってのがいるんだよ。例えば目の前にいる俺とかね……」





「あ、あ、う、え」


「………」


 鳥山とかいう男は途中から何かをぶつぶつ呟くだけになってしまった、そしてもう片方の男はといえば何も喋らなくなってしまった、多分死んではないと思うが。

 ゆうて、あまり時間経ってないけど、そろそろ警察来そうだし、こいつらにはしっかりと自分達の罪について警察の方々に説明して頂こうか。


「さて、鳥山くんと陽くん?だっけ、この後警察の人達が来るからしっかりとそこで自分達の罪を白状するんだよ?もししなかったら…… 俺、何するか分からないからね」


 そう言い残すと、さっきまでの態度が嘘の様に顔を青ざめながら怯えた目をこちらに向け頷いてくる。

 え?こいつら放置しても大丈夫なのかって?あはは、大丈夫だよ、絶対にね。

 こいつらに何したのか気になるって?それは秘密かなぁって、俺誰に向かって話してるんだろう……


「恭弥くん!」

 

 路地裏から出ると、愛華が心配そうな顔をしながらこちらに駆け寄ってきた。

 てか結構近くにいたんだな、ベンチに座っていてって言った筈なんだけど… 見られてないよな?


「愛華、大丈夫だった?」


「私の事より!!恭弥くん、本当に大丈夫だった?あいつらに何もされてない?怪我はしてない?」


 身体中ペタペタと触られ、怪我が無いか確認される。あぁ、美少女に身体をペタペタと触られるって普通に良いものだなぁ…… って違う!ちょっと今の俺普通にキモかったし、ていうかいつの間にか愛華の後ろに警官が!


「通報を受け、駆け付けました。その男達は今どこにいますか?」


「あぁ、そっちの路地裏です」


 そう言うと警官は路地裏に入って行った。その後は色々な事があり(えぇ?省いてないで、しっかり説明しろって?無理無理、面倒くさいし) 警官も初めはその男達の俺に怯えた様な姿に驚いていたが、本人達の白状、またスマホから出てきた数々の証拠により、2人はしっかりとお縄に掛かりましたとさ。

 せっかくの愛華とのデートの日だったのに、こんな奴らの為に3時間も警察署に拘束されて、時間を使わされたんだが?


「はぁ…… せっかくの愛華とのデートだったのに」


 もう既に空は暗くなり、俺達は帰路についていた。


「まぁ、でも私は満足したけどね♪」


 そう言って俺の横を楽しそうに歩く愛華を見て自然と笑みがこぼれる。


「えぇ、何でだよ、今日俺と愛華がしたことっていえば、警察との事情聴取だけだぞ」


「うーん♪ 私はね、今日恭弥くんのとってもカッコいい姿を見れて楽しかったのよ♪ 俺の女ってまた言われちゃったし!」


 そう言って満面の笑みを浮かべながらこちらを振り向く愛華を見て、あぁやっぱりこのゲームはヒロインだけは最高だな!と改めて思う俺なのであった。



──────────────────


うーん、もう何だか愛華さんだけで良い様な気がしてきちゃった、他のヒロインもそろそろ出さないとー。

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