第21話 炎02
ジョシュの大剣が敵を薙ぎ払い、ダンテは鋭い刺突で敵を突き伏せる。ベルも柔らかな
「「「さすがはレインさまの副官、若き狼にたちに
ジョシュたちの雄姿に味方は奮い立った。しかし、敵にも増援が駆けつけて乱戦は混迷を極めてゆく。レインの周囲にいた兵士も一人、また一人と参戦し、やがてレインを守る兵士は数人となった。
──僕も戦うべきだ……。
レインは初めて見る斬り合いに足が震えていた。しかし、奮戦するジョシュ、ダンテ、ベルを見ていると胸の奥が熱くなり、血が湧きたってくる。
──親友が戦っているというのに、僕は黙って見ているだけか? 僕だって誇り高いウルドの狼だ!!
レインは決断するなり帯剣を抜き放った。
──神獣『
初陣で興奮しているにも関わらず、レインは敵中で冷静だった。ゲルン鋼の剣を身体の一部のように使いこなし、敵の首、脇、手首といった装甲のない急所を狙いすまして斬り伏せる。軽快な身のこなしは熟練の剣士と見まごうほどだった。
レインの勇ましい戦いぶりは味方の士気をさらに高めた。最初は心配していたジョシュも戦いながら大喜びでレインへ声をかける。
「レインお前、やるじゃねぇか!! 本当に初陣か!?」
「そうだよ!! 知ってるだろ!!」
「まあな、さっさと片付けようぜ!!」
ジョシュはにやりと笑い、張り切って大剣を振り回す。
「「「ボルキン隊長がやられたぞ!! ひ、引け!!」」」
隊長を失った敵は慌てて逃げてゆく。すぐに、ジョシュは敵兵を追いかける兵士を呼びとめた。
「追いかけなくていい!! まずは負傷者を運べ!! それと、早く仲間を集めるんだ!! また来るぞ!!」
ジョシュが命じると兵士たちはそれぞれの役目につく。その姿を見てレインはようやく一息ついた。すると、今度はダンテとベルが近づいてくる。二人とも奮戦した
「レイン、あれを見てください」
敵兵の死体……首筋には炎を
「同じ場所に同じ刺青を入れるのは傭兵団の習慣。帝国正規軍の格好をしていますが、こいつらは……」
ダンテが言い終わらないうちに、はるか上空で矢が空気を切り裂くような高音が響いた。次の瞬間、中庭を取り囲む兵舎が轟音とともに爆発、崩壊する。爆風は凄まじく、レインたちは勢いよく
──何が……起きた……?
──い、今のは
レインは地面に手をつき、剣を杖のように使って立ち上がる。周囲を見回すとジョシュ、ダンテ、ベルも同じように身体を起こしていた。
──よかった、みんな無事だ……。
レインはふらつく足で城壁の影へ向かった。そして、みんなに向かって必死に呼びかける。
「みんな、早く物陰に隠れろ!! 今のが
レインの声を聞いた兵士たちは慌てて建物や城壁の影に走りこむ。ジョシュ、ダンテ、ベルもレインのもとへ駆けこんできた。
「どっから飛んできた!? ウルド砂漠からじゃなかったか!?」
ジョシュが忌々しそうに空を見上げるとダンテも頷く。
「ええ、おそらく
「ちっくしょ……ウルディードの弩砲は何やってんだ。さっさと反撃しろよ……」
ジョシュが毒づくと中庭に隣接する塔から叫び声が聞こえた。
「ウルド砂漠に戦列艦と
物見に立つ兵士が力の限り叫んだ次の瞬間、炸裂弾を装着した巨大な矢が中庭へ降り注いだ。再び辺りは爆発と炎に包まれ、塔も轟音を立てて崩れ落ちる。レインたちはかろうじで炸裂弾を逃れたが、他の兵士たちはほとんどが犠牲になってしまった。そして、崩壊した塔や
「あいつら、
ジョシュは愕然とした顔つきでウルディードの街並みを見下ろした。燃え広がった炎は赤々と夜空を照らしていた。
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