首吊り人形

 村で子供が遊んでいた。目の前に小さなお札のようなものが吊り下がってきた。よく見ると、それはお札ではなかった。四角い顔の小さな人形だった。人形は首を吊っていた。

「ケケケ」

 人形は目付きが悪かった。目が殺意に満ちていた。子供は逃げ出した。

「おい、小僧、どこへ行く、ケケケ」

 人形はゆらゆら追いかけてきた。子供は森へ逃げ込んだ。

「大人たちは忙しいのだ、ケケケ」

 人形はゆらゆら追いかけてきた。子供は森の奥へ奥へと逃げた。

「ガキの相手をしている暇はない、ケケケ」

 人形が姿を消した。気がつくと、辺りは暗くなっていた。帰り道がわからなくなってしまった。子供は怯えながら、森の中で一晩過ごした。

 翌朝、明るくなってから村へ戻った。村は盗賊に襲われ、全滅していた。

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