静穏を朝の光が照らしゆく時の流れぬ薄明の街

 静穏せいおんを 朝の光が 照らしゆく 時の流れぬ 薄明の街 



 今はもう夜通し起きて、朝を迎えることは少なくなった。

 また、日が昇る前に起きることも少なくなった。


 ただ、そこには確かに皆が眠っている瞬間があって、人も動物も物も時間も動き出す前の静止に近い時があった。


 その時間を逆らうように街を歩いた日を懐かしく思う。


 時ですら動くのが遅く、その中を一人だけしかいないと錯覚するような静かな朝の時間。


 でも、動き出した朝に気が付いたときには、時も音も全てが今の早さにあってしまう。

 誰もいないと思っていたところに沢山の人の気配が生まれ、そして静穏は無くなる。


 そんな一瞬の時間が私は好きだ。


 街も寝ぼけている朝の時間、独り占めしているように人のいない景色を私は探すのだった。

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