第39話 久しぶりの休日③

俺の家は常に俺しかいないので急に二人が来ることになったら色々ものが不足するとは当たり前のこと。座る場所は足りないし晩御飯の材料も足りない。


というか俺はそもそもここまで家に来るなんて予想していない。まぁ紅葉が居たのと義姉さんが来るかもしれないということで二人分の物はあるのだが3人分はない。


まぁこれから蒼井とか紅葉とか義姉さんが遊びに来る可能性を考えたら座る場所がひとつしかないのは結構まずいので菊池さんの運転する車でお値段以上な家具量販店に来ていた。


「わざわざ運転してもらってすみませんね菊池さん」


「いえいえ、お嬢様を入れてくださってありがとうございます。義弟様はお嬢様達のことを考えてくれてますから私は手伝いますよ」


俺の中では当たり前のことなのだが義姉さんや菊池さん、時雨家の人と一緒に買い物へ行くと俺は絶対にお金を払わせて貰えないのだ。まぁ生活費も貰ってるものだと言われたら終わりなのだが生活費を貰ってるのにさらに払ってもらうというのは正直申し訳ない。


「あの家は義姉さんが買った家ですし自由に出入りしてもいいのでは……? まぁそんな頻繁に来られたら困るんですけどね」


「お嬢様は普段仕事があるので義弟様の家に遊びに行けるほどの自由はありませんよ。今回はお嬢様が異常な程にやる気を出してくれたおかげで仕事が早く終わり、自由時間ができただけですから」


俺がちょっとでも仕事を手伝って義姉さんの自由時間を増やしてあげたいがそこは義姉さん達と要相談だろう。まぁ義姉さんの事だし『これは私の仕事ですから』と言って俺に仕事はさせてくれ無さそうだが。


義姉さんに一つだけ言うとしたら一人暮らしって案外暇なんだよ? 仕事があればそれをして暇を潰せる、でも俺は仕事もないしゲームをするにしても1人だとそんなに楽しめないのだ。


家具量販店でベットにもできるソファーを(菊池さんが)買って、俺は家に戻った。


「義弟クンおかえりー。疲れてるはずなのに買いに行かせてごめんね」


「大丈夫ですよ、どっちにしろいつか必要になったと思いますし。それで遊びに来たんですし何か食べます?」


「じゃあいつものをお願いします」


義姉さんが言ういつものというのは俺が義姉さんと会った時から変わらずクッキーとミルクティーである。それも高級な物だと思ってたら大間違い、実はカン〇リーマ〇ムとリプ〇ンである。


義姉さんが好きなので自然に俺も一緒に食べることになるわけで、もちろん俺もこの2つは大好きである。


「なんかウチのお嬢様のイメージが崩れた気がする……。もっとウチが知らないようなブランドの物が来るかと思ったらカン〇リーマ〇ムとリプ〇ンって……」


「別に美味しいですしいいんじゃないですか? 高級なやつも食べたことありますけど、私はやはりこっちの方が好きですね」


「俺は義姉さんと出会ってからずっとこれだったので。まぁ高級なやつを食べたいとは別に思わないですけどね」


そもそも高級なやつをわざわざ食べる必要は無いと思う。節約している身からしたら高級なやつを食べてる余裕なんてないし俺は値段による味の違いが分からない。


ここまで美味しいクッキーとミルクティーをこの安さで売ってくれてる企業にはとても感謝している。


「あれ、バニラしかないんだね。確かチョコ味もあったと思うんだけど品切れ中なの?」


「義姉さんってチョコを食べると頭が痛くなるのでバニラしかないんですよね。ホワイトチョコはいけるらしいですけど」


バニラ味にも多少のチョコチップが入っているがそのくらいの量ならセーフで、それ以上大きくなるとアウトらしい。


映画を見ながら暇を潰していたらいつの間にか外が暗くなっていた。明日は学校なのでそろそろ二人は帰らないといけないだろう。


「こんな時間だしウチらはもう帰るねー。できたらなんだけど明日の昼は一緒に食べない?」


「いいですけど、の説得でちょっと遅れるかもしれないです」


茜さんは2人のことを知らないとは思うがいつも俺は二人と一緒に食べさせられてるので急に俺が別の人と食べたいと言ったら少し話し合いになるだろう。


というかなんであの二人は俺がいつも一人で食べたいと言っても1人で食べさせてくれないんだ。目立ちたくないのに……。蒼井と一緒にご飯食べてるところを見て他の男子が俺に殺意を向けてるのが背中越しでも伝わってくるんだよ。


もう逃れることは出来ないと思う。


二人を見送ったあとに一応今から例の2人に明日は別の人と昼を食べると送っておいたが既読無視である。つまり明日出会った時に色々と言うつもりですねこれ。


紅葉はどうにかなるとして蒼井は説得に時間がかかりそうだ。


「なんで俺には女性の友達しかいないんだろう……」


まぁ自分のせいではあるのだがこういうことをぐちが出来る男の友達が欲しいと思った。

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