唐突ですが、わたしはおはなしかかれる方のイメージを、色で保持しています。
本作の作者さまの、色。
黒、銀、蒼。
絶対だとおもっておりました。
どんなおはなしをかかれても、その美麗な筆致、閑やかで穏やかで、そうして鋭利な情景描写、それがこの作者さまの特徴であり、それをあらわす色は、黒と銀。これしかあり得ないと思っていたし、ここまで外れたことがありません。
しかるに、本作で、外れました。
ではなに色なのか、と、お尋ねくださいませ。
なぜならわたしがこたえたいからです。
金。
メープルシロップの、焦がし砂糖の、はちみつの、野の花の、春のふわふわした陽光の、そうして、ちいさなキッチンで肩をよせあってごはんをつくる、なんともじれじれしい、カップルのあいだの空気、の。
包丁がまないたを叩く、とんとんというおと。
フライパンがコンロを叩く、こんという響き。
お肉のにおい、お醤油の焦げる香り。
そうして、あまあい、キス。
これ以上、なにが欲しいのですか?
僕はこの物語を読んで、こんな女の子が嫁に欲しいと思った。
恥ずかしげもなく、臆面もなく、きっぱりと、堂々と言おう!
好みです( ;∀;)
ラノベでの売れ筋を考えたステレオテンプレ女子はもういりません。僕はここに書かれた「リアルで可愛いく、慎み深く、言葉遣いの丁寧な女の子」が好きなんです。これはもはや「恋」だ!
僕はこの物語を読んだ時、「カリオストロの城」で、石川五右衛門がクラリスに向けて呟いた「可憐だ……」を即座に思い浮かべました。
癒しなんです、普通にたまらないのです。こういう可憐な女の子のキャラに、今後のラノベを背負って貰いたいのです。普通に可愛い、それがいいんです。そして、これを書ける人は中々おられないのも事実です。
なぜなら、どうしても退屈になるから。
でもこちらの筆者様は、その類まれなる稀有なる筆力を駆使して、この可憐なる女の子を生み出されました。僕は軽々とノックダウンです。
だから、強く、強く、お勧め致します。
男性ならわかってくれるはず、二度、三度、読んでも可憐で可愛い傑作です。
ぜひ宜しくお願い致します。