第13話 まさかの提案 2

「未成年に養われる社会人ってどうなんでしょう……」


「別にいいじゃん。友だちいないんだから、誰かに後ろ指さされる心配もないでしょ」


「あっ、はい」


 その通りです。


 推しと同居しちゃったっ、て自慢できる友だち、いません。


「でもでも、他のファンの人に申し訳ないよ」


「そんなこと気にしなくていいの。私が一番大切なのは奈々子ちゃんなんだもん。他のファンは二の次っ」


「おーん」


 炎上確定発言。


 注意した方がいいのかな。


 いや、私しか聞いてないからいいか。


「待って。流石に同居はヤバくない? 週刊誌に撮られたらどうするの」


「シェアハウスって言い張るから大丈夫」


 えっへん、って胸を張ってますけど、ホントに大丈夫かな。


 可愛いからいいけど。


 心配です。


「で、どうするの。養われてくれるの? 養われてくれないの? どっちなの」


「えー」


 日本語としておかしな言葉遣いになってるような気がしますが、ここは敢えてスルー。


 重要なのはそこじゃない。


 推しに養われる。


 いいのか、私。


 そんな人生でいいのか。


「待って」


「今度はなに」


 不満げにちょっと頬を膨らませる姿も可愛いね。


 じゃない!


「梨奈ちゃんに養ってもらうってことは、梨奈ちゃんが稼いできたお金で梨奈ちゃんに貢ぐってことだよね?」


「そうなるね」


 なにその循環。


 おかしくない?


 いや、今更か。


 もう最初からいろいろとおかしいか。


 頭のネジが外れたとしか思えない会話をしてるもんね。


「はい、それでは聞かせてください。奈々子ちゃんの答えを!」


 腕を絡ませたまま器用に両手をパチンと叩いた梨奈ちゃん。


 真剣な表情で顔を覗き込んでくる。


 頭がパンクしそう。


 疲れた。


 衝撃的な事実すぎた。


 それでも、ちゃんと考えたよ。


 私なりに貴女の想いに向き合ったよ。


「私は――」


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