第8話 後ろにいる

 コンビニに食糧を買いに行った帰り。


 お店を出たあたりから、ずっと足音が聞こえる。


 後ろから。


「こわっ」


 冬じゃないのに寒気がします。


 この間、もっとストーカーされている自覚をもとうって思ったのにね。


 午前0時に外出するんじゃなかった。


 人通りゼロ。


 車通りゼロ。


 はい、ここで襲われても誰も助けてくれません。


 住宅街だから、叫んだから誰か気づいてくれるだろうけど。


 襲われて大きな声を出せる自信がありません。


 おわかりですね。


 今大ピンチです。


 いやいやいやいや、もしかしたら、後の人はただ変える方向が一緒なだけかもしれない。


 試しに立ち止まってみますか。


「……」


 後ろの人も立ち止まりましたね!


 誰も私を追い抜いていきません。


 はい、私のストーカーさんで確定です。


 変な汗が出てきた。


 このまま警察に行く?


 家に帰ったら住所が……って、家バレしてるんだった。


 うーん、どうしよう。


 コンビニに引き返して助けを求める?


 それしかないよね。


 だってスマホ置いてきちゃったんだもん!


 最悪すぎる。


 馬鹿すぎる。


 マジでどうしよう。


 焦れば焦るほど冷静な判断ができない。


 歩くペースを上げ、頭をかきむしる。


 よしっ。


 取り敢えず走ってみますか!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る