第40話 頭に「り」のつく映画といえば?

 ブルース・リーやジャッキー・チェンなどの派手なアクション映画を観たあとは、自分が強くなったような気がして、パンチを繰り出してみたり(自分の口で「シュッ」とか効果音をつけながら)やりがちですが、これから語る作品も、鑑賞後は思わず「主人公のアクションを真似したくなる」格好良さに満ちています。


 頭に「り」のつく映画……「リベリオン」を紹介します。


 原題は「Equilibrium」。


 2002年のアメリカ映画。監督はカート・ウィマー、出演はクリスチャン・ベール、エミリー・ワトソン、テイ・ディグス、アンガス・マクファーデン、ショーン・ビーン、ウィリアム・フィクナーほか。


 第三次世界大戦が終結した未来世界。


 独裁国家リブリアでは、「人間の感情こそが戦争の引き金である」と感情を持つことを禁じられていました。


 政府機関「イクイリビリウム」によって生産・配給される感情抑制薬の服用が法律で義務付けられ、人々は感情が制御された生活を過ごしています。

 感情を動かす原因となる芸術品……絵画や書物、レコードなどの所持は厳禁。

 発見次第、国家が組織する特殊捜査官によって所有者は抹殺され、物品は焼却処分。


 ロボットのように無感情・無表情な人間たちによる、静謐な社会。


 特殊捜査官の中でも、上級ランクの「聖職者クラリック」に属する、凄腕のジョン・プレストンは、近接格闘術・ガン=カタで圧倒的な戦闘力を誇り、犯罪者たちを次々と処分していました。


 ある日ジョンは、同業者のベテラン捜査官の行動に疑問を抱き、調査を開始。

 その捜査官は、犯罪者から押収した詩集を隠し持ち、密かに読んでは涙していたのでした。

 感情抑制薬の服用をやめて、人間らしい感情を取り戻していたその捜査官を、ジョンは規定通り、迷わず射殺するのです。


 そこで、ジョンの心に疑問が芽生えます。信頼を置いていた先輩の捜査官が、死を覚悟してまで欲しがるのだろうか?


「感情」というものを。


 偶然が重なり、感情抑制薬の配給で貰いそびれたジョンは、次第に人間らしい「感情」に目覚めます。

 それからは、意識的に薬の服用をやめ、眠っていた自分の中の感情を、ハッキリと自覚していきます。

 押収した証拠品の芸術品に触れ、自分が処分したベテラン捜査官と同じように感情を揺り動かされ、同じように涙するのです。


 感情に目覚めたことを周囲に悟られないように、無感情を演じつつ、特殊捜査官の仕事を続けていたジョン。


 ですが、芸術品を所有していたテロリストグループを意図的に見逃し、追跡してきた同業者の捜査官たちを皆殺しにしたことで、「反逆者リベリオン」の烙印を押されてしまいます。


 新しく派遣されてきた若い捜査官ブランドは、感情に目覚め始めたジョンの行動に不審なものを覚え、水面下で動いていました。


 国家に反逆する一流捜査官を処分するために、ブランドは大勢の捜査官を率いて、追い詰めていくのです……。


 感情が管理され、味気ないディストピアの中で奮闘する主人公を描く、SFアクションです。


 特筆すべきは、特殊捜査官たちの使う格闘術、ガン=カタ。

 ガンのアクションと、空手のカタから引用した無敵の近接格闘術。

「統計的に一番攻撃の当たりにくい場所に移動して避けながら、一番攻撃を当てやすい効果的な位置・角度で戦闘を行う」という説明がなされています。


 銃口を向けた複数の相手に囲まれようとも、それを避けながら二丁拳銃で撃ち、さらには銃身で相手の顔面を殴り、ノーダメージで敵陣を殲滅させる圧倒的なテクニック。


 ラスボスとのバトルは、「互いに手が届く距離にいながら、拳銃を撃ち合おうとする」もので、相手に向けて拳銃を撃とうとすると、その銃身を手でずらして弾道を反らされてしまいます。

 向こうもガン=カタの使い手です。

 瞬間、敵が撃ってこようと拳銃を構えると、こっちもその銃身に手を伸ばし、弾道を反らします。

 その隙にこっちが撃とうとすると、また反らされ……と気が抜けないアクションの連続。


 これを見た私の弟が言いました。


 「これ、子供のケンカ?」


 そういうことを言うんじゃないの。

 

 とにかく、「ガン=カタ」がインパクト抜群の作品なんです。

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